暮らしに新風! AIとビッグデータ分析を実装した今どきのエアコン事情:猛暑の夏は終わるも(3/3 ページ)
記録的な猛暑だった今夏はエアコンの販売に大きな弾みがつき、年間出荷台数は過去2番目の規模となる920万台が見込まれている。そうした中、来年を見据えて早くも各社がエアコンの新製品を相次いで発表している。その特徴とは……?
不在時などに、エアコンをつけっぱなしにした方がいいのか、電源を切ったほうがいいのというのは、外出時間や外気温、住宅の機密性などで変化する。そのため、さまざまなサイトでも、電源を入れたままのほうがいいのか、消した方がいいのかといった議論が行われているが、結論が出にくい状況にある。
つけっぱなし判定は、スマートフォンの専用アプリを使用。外出時間の目安を入力すると、ウェザーニューズの気象情報とエオリアAIが学習した住宅環境情報をベースにして、さらにはエアコン運転に関わる数億件のビッグデータをもとに開発したパナソニック独自のアルゴリズムを使って分析し、その家における電気代と帰宅時の室温の差を判定する。これをもとに、つけっぱなしで外出するか、切って外出するかを判断できるというわけだ。
こうしたビッグデータをAIで分析し、それを機能として提供する仕組みは、今後のサービスの広がりへとつながるものになる。
白土事業部長は、「今回の新製品は、ビッグデータを活用した最初の製品であるが、このほかにもさまざまなビッグデータを組み合わせて、サービス強化できる」と語る。
その詳細については明らかにはしなかったが、冷暖房機能の強化という基本機能の追求だけが競争軸ではなくなりつつあるエアコンの進化において、ビッグデータとAIを活用した「コト」づくりの提案は、今後の切り札になるのは間違いないだろう。
また、ウェザーニューズの安部大介取締役執行役員も、「家電製品へのデータ提供を通じて、室内を快適にするといった取り組みは今回が初めてだが、今後、他の家電メーカーから要望があればデータを提供していきたい」と意気込む。
19年10月までは普及価格帯の製品が先行することになるだろうが、それ以降で、想定されるエアコンの需要が停滞した際には、重視されるのは付加価値提案となるだろう。その際に、ビッグデータとAIの活用は、重要な武器になる。今年のエアコン新製品をみると、メーカー各社は、今からその準備を開始し始めていることが見え隠れする。
著者プロフィール
大河原克行(おおかわら かつゆき)
1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、25年以上にわたり、IT産業、電機業界を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、ビジネス誌、Web媒体などで活躍。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、AVWatch、クラウドWatch、家電Watch(以上、インプレス)、日経トレンディネット(日経BP社)、ASCII.jp(KADOKAWA)、ZDNet(朝日インタラクティブ)などで連載記事を執筆。夕刊フジでは「まだまだスゴい家電の世界」、中日新聞では「デジモノがたり」を連載中。著書に、「松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド戦略」(KADOKAWA)、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「図解 ビッグデータ早わかり」(KADOKAWA)などがある。近著は、「究め極めた『省・小・精』が未来を拓く――技術で驚きと感動をつくるエプソンブランド40年のあゆみ」(ダイヤモンド社)。
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