ハラスメントが経営問題になる時代
この「好かれていれば、何を言っても大丈夫」という誤解は、企業内のハラスメント問題を助長しているとも言えます。
「自分は部下から好かれている」と勘違いしている上司が「このくらい言っても大丈夫だろう」との思い込みからした発言により、部下が著しく傷ついているケースも少なくありません。場合によっては、上司によるハラスメント行為が、部下の精神疾患につながることもあります。
また、現代社会では、上司の不適切な行為がSNSなどで瞬時に拡散されてしまいます。それが事実であるかどうかの検証よりも早く、うわさが広まってしまうケースもあるため、ハラスメント被害を訴える投稿が就活生の目に止まると、その企業への応募をやめる人が増える危険性もあります。
さらに、近年は多くの企業が人手不足であり、転職市場は売り手市場となっています。そのため、優秀な社員が社内のハラスメント問題を“絶好のチャンス”と捉え、辞める理由に使うケースも見受けられます。
つまり、今やハラスメント問題は、重要な「経営問題」なのです。社内にその傾向が少しでも感じられる会社は、優秀な人材を採用できないばかりか、働き手がどんどんいなくなってしまうのです。
こうした事態を防ぐためにも、容姿や部下からの評判を問わず、あらゆる人が性的な発言や嫌がらせ行為を控えるべきだと言えます。
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