お客様への“努力”を減らすには、どうすればいいのか:ロイヤリティーの高め方(2/4 ページ)
「お客さんのためにあれもして、これもして……。とにかくおもてなしをすることが大切」と考えている人も多いのでは。そうした振る舞いは、本当に効果的なのか。実は……。
顧客努力をあまり要しないサービスの4つの原則
書籍『おもてなし幻想』の著者たちは、こうした事実に基づき、顧客努力の性質をより深く掘り下げるための定量的調査、インタビュー調査を数百回にわたり実施している。その結果、ほとんど全てのサービス組織に共通する、顧客努力をあまり要しない4つのベストプラクティスをまとめている。
(1)顧客努力がそれほどいらない企業は、セルフサービス・チャネル(問題を自己解決できる媒体)の有用性を高めて、顧客をそもそも電話せざるを得ない状況に置かないことで、チャネル転換を最小限に抑えている。こうした企業は、顧客の好みが近年ライブサービス(リアルタイムでのやり取り型サービス)からセルフサービスへと劇的に変化したことを認識している。ただし彼らはまた、顧客が求めるものは、山ほどのオプション機能ではなく、シンプルで直感的な、問題を解決へと導くセルフサービス・エクスペリエンス(問題の自己解決における経験)だということも分かっている。
(2)顧客が電話せざるを得なくなったとき、ただ問題を解決して終わりにしない。彼らはサービス担当者に、次の問題回避策を実践して以降の電話を食い止めるよう指示する。
(3)サービス担当者にサービス・インタラクション(お客さまとのサービスのやり取り)の「感情」面にうまく対応できるよう指導している。そのためにはただ感じよくすればいいわけではなく、人間の心理と行動経済学の原則に根差した高度な経験工学戦術を使って、サービス担当者が顧客とのやり取りに積極的に対処できるようにする必要がある。
(4)最後に、単なるスピードや効率よりもサービスの質を高く評価するインセンティブを導入して、努力いらずの経験を提供する権限を現場のサービス担当者に与えている。彼らは長年サービス組織に染みついた「チェックリスト」の文化を手放し、サービス担当者により高度な判断をする決定権と機会を与える。つまり、提供されるエクスペリエンスの質について強い主導権を握るためには、それを提供する人により強い主導権を認める必要があると理解している。
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