お客様への“努力”を減らすには、どうすればいいのか:ロイヤリティーの高め方(3/4 ページ)
「お客さんのためにあれもして、これもして……。とにかくおもてなしをすることが大切」と考えている人も多いのでは。そうした振る舞いは、本当に効果的なのか。実は……。
顧客努力を減らすカギ
顧客努力が低い企業はこれらのことを実行している。とりわけセルフサービスについては、多くの企業が認識を改める必要があるのではないだろうか。たいていの顧客はセルフサービスで解決できれば何の不満もないと考えているのに対し、多くの企業リーダーは、顧客はセルフサービスより電話による問い合わせのほうがはるかに好きだと考えている。これは営業活動においても言えることだ。
急な商品に関する問い合わせが生じたとき、営業担当者がつかまらなかったり、わざわざ面談に来るまで待ったりすることで、情報がタイムリーに入手できずもやもやすることを多くの顧客は経験しているだろう。もしこれらがWeb上で解決できたら、どれほど効率的で、時間や場所を選ばず、用事が早く片付くことか。必ずしも人を介することが誠意とは限らない。
にもかかわらず、「実際には電話問い合わせは減っていない」という企業があるとしたら、先にセルフサービスを試してみたものの、問題解決に至らなかったことが要因であると認識したほうがよい。リブ・コンサルティングが行った調査の結果によると、約9割の人が、電話で問い合わせる前にWebなどで調べて自己解決を試みていることが分かった。
つまり顧客努力を減らすカギは、セルフサービス・エクスペリエンスを見直すことにある。大部分のサービスサイトが失敗するのは、機能やコンテンツが不足しているからではなく、多すぎて分かりづらくなっているためだ。セルフサービス・エクスペリエンスで最も成功をおさめている企業は、意欲的にWebサイトを単純化し、顧客の抱える問題に最適のチャネルやコンテンツに顧客を導いている。
セルフサービス・エクスペリエンスに積極的に取り組んでいる企業の1つとして、米国に拠点を置くインターネット旅行会社の事例を紹介する。同社が問い合わせ電話の件数を減らし、セルフサービス・エクスペリエンスを改善するための計画を立て始めたとき、すぐに気付いたのは、多くの顧客がすでにWebサイトやFAQに載っている情報についてたずねるために電話を掛けてきていることだった。
だが、多くの場合、情報は顧客に分かりにくい方法で書かれていた。そこで同社は、自社のWebサイトを改善するために研究を重ね、Webサイトの有用性のためのルールを作った。その中からいくつか事例を紹介したい。
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