元阪神タイガース投手の公認会計士が「アスリートの人生設計」を本気で手伝う理由:「自分には競技しかない」は本当か(3/4 ページ)
アスリートデュアルキャリア推進機構(ADCPA)の奥村武博代表理事が、9月20日に会見を開催し、今後の戦略を発表した。同機構はスポーツ選手のキャリア形成を支援している。これからどのようなことに取り組んでいくのだろうか。
ビジネスとスポーツは似ている
現役選手向けのキャリア相談窓口は無料とし、適性などを踏まえながら今後の職業選択についてアドバイスするほか、ビジネスに必要な考え方などを伝える。人材会社と手を組み、引退後に就職先のあっせんや、再就職後のフォローなども行っていく。
「ビジネスとスポーツは似ている。トライアンドエラーを繰り返し、PDCAサイクルを回すのは仕事の基本だが、野球選手も『前回の打席で打たれたから、次は配球を変えよう』などと、同様の思考が自然にできている。『スポーツしかやってこなかった』という人もビジネス界で活躍できると伝えたい」
戦力外通告を受けた選手もサポート
引退選手のキャリア選択の支援は、コミュニティー形式を想定。「スポーツマインドをビジネスマインドに変える」をテーマに、(1)就職・企業・出店の支援、(2)大学・大学院・資格予備校の紹介、(3)指導者の養成機関の紹介――などを手掛けていく。
この取り組みでは、戦力外通告を受けた選手のフォローにも注力する方針だ。
通常、プロ野球では毎年10月に戦力外通告が下され、対象となった選手は11月をめどに寮から退去しなければならない。11月に開かれるトライアウトで他球団に拾われるケースもあるが、そうでない場合は、年俸が支給される12月中に次の仕事を見つけない限り、翌年1月からは無収入となるため、早急なサポートが求められるのだ。
「ビジネスパーソンの転職活動は平均3カ月かかるといわれているが、アスリートは1カ月という短期間で決めなければならない。現役中に給与を積み立てる制度もあるが、長年活躍する選手に適した設計になっている。こうした状況下で『どうしたらいいのか分からない』と不安を持つ人を減らしたい」(奥村氏)
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