企業トップの5割、働き方改革法が「経営の支障になる」と予想 生産性ダウンの懸念も:労務費上昇も不安要素
企業の経営層は、翌春施行予定の「働き方改革法案」をどう捉えているのか。人材会社エン・ジャパンが調査結果を発表した。約半数の経営者が「経営に支障が出る」と考えていることが分かった。
今夏に可決・成立し、2019年4月に施行される予定の「働き方改革関連法案」。「時間外労働の上限規制」「同一労働同一賃金の義務化」などが含まれており、施行に合わせて管理体制を見直す企業も出てきそうだが、経営者は同法案の施行をどう捉えているのだろうか。
人材会社エン・ジャパンが調査した結果、経営者の47%が「(働き方改革法の施行が)経営の支障になる」と予想していることが分かった。
経営者が支障を生むと考えている項目は「時間外労働の上限規制」(69%)、「年次有給休暇の取得の義務化」(56%)、「同一労働同一賃金の義務化」(46%)、「中小企業の時間外割増率猶予措置の廃止」(30%)、「勤務間インターバル制度の普及促進」(10%)などが挙がった。
回答者からは「残業の上限を規制しても、結果的にサービス残業の増加で補う状態になってしまう」「人手不足の状況なので、有給休暇で休む人がいると1人当たりの労働時間が長くなり、賃金が上がる」「同一労働同一賃金を取り入れると、労務費の上昇が考えられ、利益を圧迫しそう」といった声が出た。
また「社員に能力差がある職場では、同一労働同一賃金の判断が難しい。本当に守れば優秀な社員から不平不満が出る」「残業の上限や有休を義務化したら生産性が下がる」との意見もあった。
一方、「(施行は)経営に支障はない」と考えている経営者は42%。肯定派からは「就業規則の見直しの良い機会になると思う」「日本は他国よりも働き方の面で遅れている。国が柔軟に対応して働き方が多様化することで、多くの問題が解決されると思う」といった意見が出た。
調査はエン・ジャパンが運営する人事担当者向け情報サイト「人事のミカタ」のユーザーを対象に実施し、648人から回答を得た。
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