あなたの残業、本当に必要ですか?:働き方の習慣を変えよう(4/4 ページ)
かつてメーカーに勤務していた筆者は、残業と休日出勤が定常化していた。疲労感を抱えながら仕事をすると、集中力は低下し、生産性は落ちていく。その結果、さらなる長時間残業に発展していくという悪循環だった。全ての原因は「働き方の悪い習慣」の積み重ねだったという……。
効果3 どこでも通用する仕事力が手に入る
仕事力とは、より少ない時間でより大きな成果を出し続ける能力だと私は考えます。すなわち、「仕事の高密度化」への取り組みは、仕事力を高める最高のトレーニングと言えます。
将来、年金の支給開始時期が70歳まで延びたとすると、現在40歳の人はあと30年働く必要があります。変化の激しい時代、定年まで雇用を保障してくれる会社はどこにもありません。
私たちが自らコントロールできることは「どの会社も欲しがる人材」になるよう仕事力を磨くことだけです。会社がつぶれても、自分の仕事力を高めていれば他の会社が雇ってくれるでしょう。
新しい資格を取得したり、スキルアップの講座など自己投資をすることも有効ですが、何より目の前の仕事の生産性を日増しに高めることが、最高の自分磨きではないでしょうか。
生産性を最大化し続ける取り組みの結果として、市場価値の高い能力を手に入れることができます。
以上、高密度化の3つのメリットをご紹介しました。「会社が残業を減らせ」と言っているからという受け身の動機ではなく、自らの人生や生活を理想的にしたいという能動的な動機が持てると、長く高密度化を続けることができます。
著者プロフィール
古川武士(ふるかわ たけし)
習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役
米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー
関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。3万人のビジネスパーソンの育成と1000人以上の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。オリジナルの習慣化理論・技術を基に、個人向けのセミナー、コンサルティング、法人向けの働き方改革として「仕事の高密度化」習慣を提唱しており、多くの企業からオファーが絶えない。16年からは中国での習慣化プロジェクトもスタートしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ働き方改革はうまく進まないのか
国を挙げて日本が取り組んでいる働き方改革。しかし、8割を超えるビジネスパーソンが働き方改革を実感していないというデータがある。これが日本の働き方改革の現状ではないだろうか。では、なぜ働き方改革はうまく進まないのか?
残業手当はすぐになくしたほうがいい カルビー・松本会長
日本を代表する「プロ経営者」として、さまざまな経営改革を推進してきたカルビーの松本晃会長兼CEO。働き方改革にまつわる日本企業の問題点について、真っ先に「残業手当」を挙げる。
「生産性を上げても賃金は上がらない?」 伊藤元重学習院大学教授に聞く“日本経済の処方箋”
経済財政諮問会議のメンバーである伊藤元重学習院大学教授に、働き方改革を進める上での課題と日本経済の処方箋を聞いた。
「社員を管理しない、評価しない」 個人と会社の幸せを追求した社長が心に決めたこと
「ワーク・ライフ・バランス」ではなく「ワーク・アズ・ライフ」。こうした言葉を語る人たちが増えている。TAMという会社は、社員のワーク・アズ・ライフを「仕組みで」可能にしている。社長にその本質を聞いた。
「浮いた残業代は社員に還元すべき」 アルプス電気・栗山社長
自動車やスマートフォン向け電子部品を製造販売するアルプス電気が、残業時間削減で浮いた人件費を賞与で社員に還元する制度を2018年夏から実施。その狙いを栗山年弘社長に聞いた。