「コミュ障」だった38歳平社員エンジニアが会社から資金調達できた理由:「会社がつまらない」と嘆く前に(5/5 ページ)
38歳、無名、平社員――。普通のサラリーマンが会社からいかに500万円という資金を調達できたのか。「会社がつまらない」「どうせ会社なんて変えられない」と嘆く若手へのメッセージ。
大企業間で連携 「日本のものづくり変えたい」
角岡は現在、大企業の有志団体が運営する若手のための組織である「ONE JAPAN」に参加し、「ONE JAPANハッカソン」を主宰している。結成2年目を迎え、50社1200人が参加する「ONE JAPAN」では、若手から会社を変えていこうとする、企業の枠を超えた協業が進み、参加団体にはパナソニック、NTT東日本、富士ゼロックスなどの会社名が並ぶ。
角岡はONE JAPANに参加することで、ハッカソンの文化を日本中の大企業に根付かせたいと考えている。日本の大企業が持つ資源や技術を融通し合うことで、日本のものづくりの在り方を根底から変えたいと考えているのだ。
「複数社で行うハッカソンでは公開済みの技術を集めて素材として提供するのが一般的です。知的財産権の取り扱いは難しく、複数社の非公開技術を相乗りさせることは、シリコンバレーですらほとんど例がありません。ですが、ONE JAPANハッカソンでは多数の会社が新技術を出すことにこだわりました。人材流動性の低い日本では、会社の枠組みを超えて協業しなければ、シリコンバレーを超えるイノベーションを起こすことができないからです」
さらに、日本企業では若手が予算を獲得する機会にはなかなか恵まれない。
「ですから、ハッカソン運営では、若手にも予算が回りやすくなるように、国際見本市『CEATEC』の出展に事業計画書の作成講習、神奈川県川崎市や経産省の助成プログラムへの応募など、実績づくりと予算獲得に直結する方法を組み込んでいます。まだ画期的な実績は出せていないかもしれませんが、いつか形になると思うのです。大企業同士でハッカソンをやるという意味は3カ月で何か商品を作るという短期的なことではなく、10〜20年かけて100年後にも残るインフラを作ることだと思っています」
(敬称略)
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