“会社なら当たり前のこと”をすればうまくいく――フェンシング太田雄貴が挑む「スポーツ業界の健全化」:「問題噴出」の構造的背景を聞く(6/6 ページ)
暴力、パワハラ、助成金の不正流用――。スポーツの競技団体で噴出する問題は止まる気配を見せない。昨年、日本フェンシング協会会長に就任した太田雄貴氏に現状の課題を聞いた。
ガバナンス効かぬスポーツ業界を変えろ
以上が太田会長へのインタビュー内容だ。積極的に改革を進めている太田氏は、「業務執行のトップは長く続けない方がいい」と言い切る。改革を通して、収益の確保と会員増強のためのノウハウを協会に蓄積し、次の世代に引き継ぎたいという考えからだ。
ただ、改革に当たってスタッフの人数を大幅に増やせるわけではない。フェンシング協会を初め多くの競技団体は、少人数の正職員によって運営されている。笹川スポーツ財団などが実施した「中央競技団体現況調査 2016年度」によると、62団体のうち22団体が、正規雇用者数を1〜4人と回答しており、最も割合が多かった。11団体については、正規雇用者を「0人」と回答している。
限られたスタッフによって、大会などの事業収入や会員を増やすためには、太田氏が語ったように、従来の運営方法にとらわれない新たな発想が必要になるのだ。
競技団体の中では比較的規模の小さいフェンシング協会が、補助金に頼らない運営を実現できれば、多くの競技団体にとってもモデルになる可能性がある。太田氏の視線は、スポーツ界全体の未来を見据えている。
著者プロフィール
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。HPはhttp://tanakakeitaro.link/
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