会社をつぶし、手掛けた2つのサービスが終了 それでもチャンスをもらえる「許され力」の正体とは?:失敗からの再起(4/6 ページ)
挑戦には失敗がつきものだ。しかしそうとは言え、すべての人が等しく再起を許され、新たなチャンスをものにできるわけではない。失敗しても許され、再起できる人とそうでない人の違いはどこにあるのだろうか? 「タップル誕生」を手掛けるマッチングエージェントの合田武広社長が自身の経験を語った。
着実な路線に“転向”、だが内なる炎は消えていない
――3度目の正直で立ち上げた「タップル誕生」はすごく順調ですね。過去の経験はどのように生きていますか?
先ほど言ったように、以前の僕はとにかくまだ世の中にないものを作るという発想でいました。「Snapchat」や「TikTok」はそういう発想だからこそ生まれたサービスだと思います。ただ、今の僕にはそれはまだ難しいと分かった。そこで、以前とはちょっと考え方を変えました。今うまくいっているサービス、OmiaiやPairsをものすごく参考にして、成功パターンをしっかり研究した上で、それにオリジナルの要素を付け加えることで独自性を出していく方針に変えたのです。
――なるほど。でも、その“転向”は自分の中ですんなり受け入れられたのですか?
いや、当初はまったく受け入れられませんでした(苦笑)。ただ、会社を1回つぶした経験が自分としてはものすごく大きかったので、次は絶対につぶさないという気持ちが勝りました。これまでのように斬新さを追求したり、自分が好きなことをやったりというよりも、経営を安定させるためにはどうしたらいいかを深く考えるようになりました。
PitapatもQixilもユーザーからは一切お金をもらわず、「僕が作りたいものを作りました」だけで終わっていましたが、タップル誕生に関しては、きちんと月額4000円をいただける価値を提供しようと決めました。そのお金でさらにユーザーを獲得して、そこからさらに開発費とか、安全のためのカスタマーサポートとか、そうやってビジネスが循環するようなサービスを作ろうという意識が強くなっていったのです。
――そこには以前と同じような楽しさもあるのですか?
最初は会社を安定させること、軌道に乗せることだけを考えていたというのが本音です。でも、タップル誕生をリリースしてから4年3カ月が経って、ようやく新しいチャレンジができるところまできたと感じています。この先は、元々やりたかった海外展開にも少しずつチャレンジしていきたいです。
以前はいきなり海外ばかり見て失敗しましたけど、今回はちゃんと日本で事業の土台を固めてからと思ってやってきました。その準備がようやくできてきたのかな。まあ、こういうアプローチに変わったことで、周りからは「丸くなった」と言われたりしていますけど(笑)。
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