知ってるようで意外に知らない食品ロス問題を“そもそも”から考える:流通関係者のジレンマとは?(4/4 ページ)
大きくクローズアップされるのになかなか解決しない食品ロス問題。そもそも、なぜ食品ロスは発生するのだろうか? 根本的な原因を考えながら、現実的な解決策を考えてみる。
食品ロスを減らす残りの施策は?
(3): 商品入れ替えプロセスの見直し
商品入れ替えプロセスの見直しとは、新商品の導入および定番カット品(新しい商品への入れ替えや商品の規格変更のため、店頭から撤去される食品や商品)の終売時における流通上の業務プロセスを、食品ロスが発生しにくい方法に見直すことである。
新商品の導入プロセスでは、取引先との間で新商品の発注情報の共有を早期化する。ローソンやファミリーマートが実施しており、ファミリーマートでは2016年1月以後、各店舗での新商品の発注を、発売前週から行える仕組みに変更。入力された情報を、情報システム上でパンメーカーと共有している。メーカーの予測精度は大きく向上し、食品ロスの発生抑制につながっている。
定番カット品の終売プロセスの見直しとは、定番カット予定品については、卸売業はメーカーへの発注を止め、既存の物流センター在庫分のみで店舗発注に対応する。小売業も店番カット予定品については店舗からの発注に100%応えることは要請せず、欠品を許容する。物流センターの商品を売りきることが可能となり、返品・廃棄の削減につながる。この仕組みはローソンが導入している。
(4): AIやIoTを需要予測の精緻化に使う
食品ロスや返品の要因となる過剰生産や在庫は、顧客情報・販売実績情報を手に入れて、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を使っていけば削減できる。日本気象協会は、気温や湿度、降水量などの気象データとPOS(販売時点情報管理)データをAIで分析し需要を予測するモデルを構築。ミツカンや相模屋食料などとの実証実験で、食品ロスを最大3割削減する成果を出した。
現在、製・配・販の情報共有は、販売計画・販売実績・売場内動向などの情報共有にとどまっている。しかし、製・配・販各層がAI、IoTを使って効率的にデータを収集・処理して需要予測を行い、その結果を持ち寄ることで、予測をさらに精緻化し、食品ロスをさらに減らせる可能性があると思われる。そのためには、今まで以上に製・配・販の緊密な連携が必要となるだろう。
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