減り続ける「管理職のイス」と“死亡率”急上昇のリアル:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/5 ページ)
「管理職になりたくない」人が6割を占める調査結果が問題になっているが、管理職の椅子が減っている現状を考えれば、希望者は4割で十分。それよりも、管理職の在り方そのものを見つめ直す必要がある。
働き方改革の前に「経営者改革」を
これは05年までのデータ、つまり10年以上前のデータに基づいていますが、管理職を取り巻く環境はもっともっと厳しくなっていることが考えられます。グローバル化が進み、いつでもどこでも24時間連絡が取れるようになり、人間の能力をもはや超えているのでは? と思えるくらい、全てのスピードが早まりました。
もはや企業が憂えるべき事案は、管理職志望者が減ったことではありません。
管理職たちの心身が蝕まれない職場環境を整え、よりすぐりの管理職たちが将来の経営陣に加わり、会社を健全な方向に引っ張っていくための施策を練ることが求められています。
そのためには「働き方改革の前に経営者改革をせよ!」と思うわけです。
管理職とは何か?
管理職は本当に必要なのか?
管理職=経営側 で本当にいいのか?
などをトップが考える。
そして、1人でも多くの元気で生き生きと働ける管理職が増えれば、結果的に管理職昇進に否定的な若者は減り、管理職になりたい人も増える。
だって、管理職の年収は企業規模に関係なく平社員よりも格段に高く、大企業の場合、40代前半の課長と平社員の年収差は1.7倍もの開きがあります(16年の厚労書の調査)。課長の年収が963万円なのに対し、平社員は558万円。管理職は405万円も多くもらっているのです。
また、大企業で働く50代後半の部長と平社員の年収を比べると、部長が1255万円なのに対し、平社員は646万円。2倍近く差が広がっていきます。
以前は、管理職になると残業代がつかなくなって給料が減る、いわゆる“逆転現象”が起こるケースが少なくありませんでした。しかし、最近は「名ばかり管理職」という言葉が広がったことや、残業を抑制する動きも出ているため、逆転現象は起こりづらくなっているのです。
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