採用してもすぐ辞める…… バイトを定着させる3つのポイント:負のスパイラルから脱却(3/3 ページ)
アルバイト・パートをうまく採用したとしても、次から次へと辞めてしまったのでは、根本的な問題解決にはならない。採用した人材に長く働き続けてもらうために、どのような工夫が必要なのだろうか?
現場が「働き続けたいと思える職場」であるかどうか
定着を促進するための3つのポイント「職場におけるバックヤードの環境整備」「スキルアップの仕組みと評価制度の見直し」「多様な働き手のニーズに合わせた制度の整備」をお話しました。
ここで改めてお伝えしておきたいことは、環境や仕組み、制度を整備したとしても、定着強化は短期間では行えないということです。腰を据えて、長期的課題として取り組む必要があるのです。とりあえず従業員が喜びそうな福利厚生を増やす、とりあえずまかないを充実させる……といったような場当たり的な対策では本当の意味での定着にはつながりません。「フィールドHRサイクル」(図1)にあるように、採用から受け入れ・教育、定着、輩出までをしっかり見据えた上で取り組んでこそ、真の定着となります。
定着には、結果が出てくるまでに時間がかかります。しかし、できることから地道に続けていくことで必ず、採用しては辞める「負のサイクル」から、採用した人が長く働き続け、さらに働きたいという人が自然に集まってくる「正のサイクル」へと変わっていきます。そうなれば、採用活動も今ほど必要なくなるかもしれません。「負のサイクル」を断ち切るために、まずはご自身の店舗や営業所が「働き続けたいと思える職場」になっているか、振り返ってみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
日比谷勉(ひびや つとむ)
パーソル総合研究所 フィールドHRラボ責任者/エバンジェリスト
日本マクドナルドの採用部門の責任者として、さまざまな新しい採用戦略を実施し、計100万人のアルバイト・パート採用を推進。2018年4月、株式会社パーソル総合研究所入社。"現場"のアルバイト・パート領域に特化した調査・研究・コンサルティングを行う「フィールドHRラボ」を設立。ラボの責任者であるとともに、エバンジェリストを務める。
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