「10本連続で吸える」新型アイコスでシェア拡大なるか フィリップモリスの挑戦:なぜ海外より日本で人気?(2/3 ページ)
フィリップ モリス ジャパンが新型「アイコス」を発表。うち「アイコス3 マルチ」は、初の連続使用に対応し、ヒートスティックを約10本連続で喫煙できる。新端末を出す狙いは、日本の加熱式たばこ市場でシェアを伸ばし、再び圧倒的首位に立つことだ。
なぜアイコスは日本で人気?
加熱式たばこ市場でのシェアがやや下がってきたとはいえ、紙巻きたばこを含む日本のたばこ市場全体に占めるアイコス用ヒートスティックの割合は15.6%。JTの紙巻きたばこ「メビウス」シリーズに続く2位だ。
だが海外に目を向けると、これほどアイコスのシェアが高いのは日本と韓国のみ。PMIが本社を置く米国では、16年12月〜17年3月にかけて米国食品医薬品局(FDA)に販売申請を提出したものの、現在も審査が続いており、米国での販売には至っていない。
欧州でシェアが高いのは、ロシア、ギリシャ、イタリアなど。PMIが工場や研究所などを置く“お膝元”スイスなどでのシェアは低くなっているのが現状だ。
アイコスはなぜ、日本で突出した人気を得ているのか。カランザポラスCEOは「日本の消費者はより革新的なものを好む。また、メンソールや軽い味わいを好むため、アイコスの味が好みに近いのだろう」と分析する。
PMJの広報担当者は「日本人は周囲を気に掛け、煙のにおいが迷惑にならないよう気を遣う人が多い。(においの少ない)アイコスは、周囲を気にする煩わしさがないため人気が出たのだろう」とみる。
また、欧州諸国では、屋内の喫煙を禁じる一方、屋外での喫煙においては規制を設けないケースが多い。そのため、においが少ないというアイコスの利点をうまく訴求できず、紙巻きたばこからの乗り換えが進まないそうだ。
ただ、カランザポラスCEOは「欧州などでもアイコスは伸びている」と強気の姿勢を崩さない。世界規模でアイコスを普及させるため、日韓での「アイコス3」「アイコス3 マルチ」の動向を踏まえ、比較的好調な市場から両端末を他国に投入する計画もあるという。
PMIは旧モデルの課題を解決した新型アイコスを、世界的なシェア拡大につなげられるか。
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