KDDIがiDeCo参入 残高に応じてポイント還元:申し込みから残高確認までスマホで
スマホで申し込みができ、残高の確認や節税額や運用結果などのシミュレーションもスマホで行えるiDeCoサービスをKDDIが提供する。スマホと親和性の高い若いユーザーを獲得していくのが狙いだ。残高の0.1%のポイントも還元する。
貯蓄から投資への掛け声に乗って、異業種の資産運用事業への取り組みが加速している。KDDIは10月24日、個人向けの確定拠出年金サービス「auのiDeCo」の提供を開始した。スマホアプリを活用し、申し込みから資産残高の確認、節税や投資のシミュレーションまで行えるのが特徴だ。また、auユーザーには保有残高の0.1%、auユーザー以外にも0.05%のポイントを還元する。
iDeCoの運用商品としては、KDDIが大和証券が合弁で設立したKDDIアセットマネジメントが投資信託を提供する。定期預金のほか、国内外の株式や債券に分散投資を行う、パッシブ型を2種類とアクティブ型を2種類、計5種類を用意した。
「たくさん商品を並べて選択肢を増やすことも考えたが、たくさん商品があると選びづらい。あえて5商品に絞った」(KDDIアセットマネジメントの藤田隆社長)
iDeCoにかかる手数料は、国民年金基金連合会や信託銀行に支払うものがあるが、運営管理を行うKDDIアセットマネジメントへの手数料は無料とした。別途かかる投資信託の信託報酬は、複数のファンドを組み合わせたファンド・オブ・ファンズ形式のため比較的高く、実質で0.378%から1.56141%となっている。
iDeCoのような金融商品は規制もあるため、提供者ごとの差別化がしにくい。そんな中で、KDDIが注力したのはスマホの活用だ。iDeCoは引き出しまでの期間が長いため、投資の複利効果が効きやすい。
「できるだけ早く始めたほうが節税効果が高い。しかし20代はまだ3.8%しか入っていない。若ければ若いほどお得なのに、こうしたギャップが起きている。そこには手続きが面倒そうだなぁ、投資って不安、どのくらいお得なの? という心理的なハードルがある」と、藤田氏は分析する。
「加入の申し込みから、節税額のシミュレーションもアプリの中で完結する。年金残高や運用実績も確認できる」(藤田氏)と、スマホを前面に押し出すことで若者をターゲットに入り口を整備した。
一方で、iDeCoの制度上、まだ完全にスマホで完結しきれていない部分も残る。申し込みには紙での書類返送が必要となっており、手続きにかかる時間も1〜2カ月程度。KDDIの金融・コマース本部の臼井朋貴副本部長は、「(申し込みも)スマホで完結できるよう(制度の改善に)動いていきたい」と話す。
拠出するお金も、現在の制度では銀行の口座振替しか対応していない。「掛け金を口座振替しかできない。キャリア決済を利用できると連携しやすいが、制度として銀行振替しかできなくなっている」と、制度への課題も提起した。
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