「才能ある貧乏」と「無能な金持ち」はどちらが成功する? 浮かび上がった不都合な事実:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
遺伝子から子供の才能を調査し、育つ家庭の裕福度によって学歴がどう変わるかを明らかにした研究が話題になっている。「才能」と「環境」のどちらが将来を決めるのか。その結果から、現代社会の問題も浮き彫りになった。
「才能」と「環境」どちらが将来を決めるのか
とはいえ、この研究で遺伝子を調べると、才能に恵まれた人の傾向は分かるという。そこで、成長して成功する人としない人に差が出るのはなぜなのかを研究者たちは探った。この研究では、大学を卒業することを一応の「成功」と見なしている。なぜなら、大学などの学校を出ると、そうでない人よりもよい収入を得られる仕事に就き、「成功」している率が高いと一般的に考えられているからだ。特に米国では、給料がそれなりの会社で働きながらしっかりとした生活を築くことを、「サクセスフル(成功している)な人」と見る向きがある。
調査結果によれば、遺伝子的に才能がないグループに属する子供でも、裕福な家に育てば、大学を卒業する比率が高いことが分かった。その割合は、遺伝子的に才能のあるグループに属する、貧しい家庭に生まれた子供が大学を卒業する割合よりも断然高かった。
数字で示すと、遺伝子的に同じ程度に優秀な才能を持つ子供たちの中では、裕福な家庭に育った子の63%が大学を卒業するのに対し、貧しい家庭ではその割合は24%にまで下がる。
一方、遺伝子的に才能が低いと評価されたグループの子供たちでも、裕福な家庭に生まれると27%は大学を卒業する。つまり、遺伝子的に才能に恵まれた貧しい子供たちよりも、才能が劣る金持ちの子供たちのほうが、大学を卒業する数は多いのが現実だということが分かる。
この研究からはっきりすることの一つは、将来的に成功するかどうかの違いを生むのは、遺伝子的に恵まれた才能ではなく、それぞれが育つ環境が大きいということだ。現代社会では「裕福さが遺伝子を超える」ということなのだろう。
というのも、言うまでもなく、裕福な家庭では子供が小さい時から習い事や学習教室などでいわゆる「英才教育」のようなことを始めている可能性が高い、というのが背景にある。
関連記事
- 「米粒スパイチップ」だけじゃない 中国に“情報を盗まれる”恐怖
米大手企業に対する中国のハッキング疑惑が報じられ、話題になった。しかし、その手口はこれまでも世界中で行われてきたサイバー工作だ。中国があの手この手で実践してきた、ターゲットが気付かないうちに膨大な情報を盗み出す手法とは…… - 月旅行に挑むZOZO前澤氏、海外からの評価は「イマイチ」な理由
通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ社長の前澤友作氏が月周回旅行をする初の個人客に選ばれ、話題になっている。ロケット開発費など莫大な資金を支払う前澤氏を、海外メディアはどのように見ているのか。 - 人ごとではない? 「セックスパット」駐在員のとんでもない行動
「セックスパット・ジャーナリスト」に関する米雑誌記事が物議に。特にアジアで、駐在している欧米のジャーナリストがひどいセクハラを行っているという内容だ。なぜ海外でセクハラしてしまうのか。日本のビジネスパーソンも人ごとではない。 - まるで本物 「ディープフェイク」動画の危険性
欧米で新たなテクノロジーを使ったフェイクニュースが出現している。それは、実在の有名人を使って偽物の動画を作成する「ディープフェイク」だ。その危険性とは…… - 仮想通貨の父「サトシ・ナカモト」の正体がバレているのは本当か
仮想通貨の代表格であるビットコインを発明したサトシ・ナカモトとは、何者なのか。数々のメディアが「この人物がナカモトだ」と報じたが、いずれも誤報。真相は闇に……と思われたが、ナカモトの正体を知っている人がいるとの話が出てきた。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.