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月旅行に挑むZOZO前澤氏、海外からの評価は「イマイチ」な理由世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ社長の前澤友作氏が月周回旅行をする初の個人客に選ばれ、話題になっている。ロケット開発費など莫大な資金を支払う前澤氏を、海外メディアはどのように見ているのか。

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 9月17日、米国の宇宙開発ベンチャー「SpaceX(スペースX)」の最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏は、2023年に月周回旅行をする初めての民間人顧客を、通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ(10月からZOZOに社名変更)の社長、前澤友作氏に決めたと発表した。

 前澤氏は搭乗する大型ロケットの開発費50億ドル(約5600億円)の支援をするとみられ、このプロジェクトが実現した場合に自分と一緒に月旅行に連れていくというアーティストら9人分の旅費約9億ドルも支払うことになるなど、とにかく莫大な金でこの「権利」を購入したといえる。

 このニュースは全世界で大きく報じられた。前澤氏は「月に行くことにしました。アーティストと共に」とツイートし、宇宙への旅が子どもの頃からの夢だったと明かしている。実現すればこれまで24人しか降り立っていない月に近づくことになる。

 とにかく、米電気自動車大手Tesla(テスラ)のCEOでもあり、世界的な起業家のマスク氏の隣で記者会見に臨んだことで、世界的な舞台に立ったことは間違いない。ただ、そんな前澤氏を世界はどう見ているのだろうか。

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前澤氏はアーティストと月に向かうアートプロジェクトを計画している(出典:特設サイト

 そもそも前澤氏は、今回の宇宙がらみのニュースの前まで、世界では一般的にあまり知られていなかった。

 実は少し前まで、前澤氏を英語で検索すると、まず出てくるのは、高価な絵画を購入しまくっているというニュースばかりだった。16年に2日間で7点の作品を合わせて9800万ドル(約110億円)で購入したのを皮切りに、ジャン=ミシェル・バスキアの1982年の作品を5728万5000ドル(約63億円)で購入。バスキアを落札した際は、アート系を中心に海外メディアでも名前が知られるようになった。さらに17年にはまた別のバスキア作品を1億1050万ドル(約123億円)で購入している。

 もちろん本当にアートに造詣が深く、芸術を楽しんでいるというのなら素晴らしいことだが、一方で、もし高価なアートを購入したという話題をビジネスのPRにしようという“色気”があったなら、その作戦は成功していたとは言い難い。宇宙開発に投資をする前までは、多くの記事が「芸術品を買いあさっている日本の若い金持ち」という以上の扱いはほとんどしていなかったからだ。「ゾゾ」という名前が前澤氏とつながっていない、という印象だった。

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