月旅行に挑むZOZO前澤氏、海外からの評価は「イマイチ」な理由:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ社長の前澤友作氏が月周回旅行をする初の個人客に選ばれ、話題になっている。ロケット開発費など莫大な資金を支払う前澤氏を、海外メディアはどのように見ているのか。
前澤氏が名前を売る“絶好の機会”だった?
ただ、日本に暮らす外国人記者の間では注目されていた。というのも、筆者は以前、海外ジャーナリストが注目する日本人起業家を取り上げるという企画を担当したことがあった。その中で、注目している起業家を外国人記者に聞いたところ、前澤氏の名前を挙げている人が何人かいた。だが彼らも、まだ前澤氏は日本の枠を出ていないという印象であった。
17年、競売会社のクリスティーズが発行している雑誌に前澤氏が登場した際には、記事の中で「日本人は私のことを、weirdo(変わり者)だと見ているんです」と話したり、好きな1980年代のロックバンドについて語ったりするなど、パーソナルな面も見せている。だが、読み終わっても、この富豪が何をしている人なのかがいまいち頭に残らない。当時の前澤氏を評する象徴的な記事だった。
転機の一つは、スタートトゥデイが全身採寸用のボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を世界的に発表したことだ。ゾゾスーツは確かに革新的なアイデアで、遊びに参加しているような気にもさせてくれる。これによって、特に日本好きや新しいモノ好きの間で、ゾゾという名が知られるようになった。
事実、シンガポールに暮らす友人の白人男性が、Facebookでゾゾスーツの写真をアップし「今晩、ゾゾやるぞ!」「天才的なアイデアだ」と、興奮気味に投稿していた。彼は日本文化が大好きだったから意外には思わなかったが、コメント欄にはまだ「何それ?」といった反応が多かった。ちなみにハイチ人の友人からのコメントには「ハイチのクレオール語では、ゾゾという言葉はペニスを意味する」というものもあった。
そして今回の月旅行。スペースXのマスク氏は、特に最近、公私ともにお騒がせな人物というイメージが強い。そういう意味でも彼の言動には常に注目が集まっているため、前澤氏が名前を売るには、ある意味で絶好の機会だったと言える。マスク氏は情緒不安定なところがあり、最近でもTwitterでテスラの株式を非公開化するとツイートして大騒動になったり、タイの洞窟遭難事故で救助に当たったダイバーを「小児性愛者」呼ばわりするなど物議を醸していた。そんな中での月旅行第一号の発表とあって、多くのメディアが注目した。
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