「小さなプロジェクトの集合体」が世の中をよりよくする――ポストミレニアル世代の幸福論:ニーズを拾い、集める(4/4 ページ)
「ポストミレニアル世代」のベンチャー経営者、Yokiの東出さんに、日本のスタートアップシーンに対する考えや「小さなプロジェクトを立ち上げやすい環境」をつくる目的、そして「幸せ」についても尋ねてみた。
ネガティブなことをポジティブに捉えてみる
WORK MILL: 東出さんは、長時間労働や過労死など働き方の問題について、どうお考えですか。
東出: 僕はクラウドファンディングの考え方が好きなので、家入一真さんに共感しているんですけど、家入さんがよく「逃げな」って言っているのは、僕もそうだと思います。「逃げるは恥だが役に立つ」って、本当にそうだな、って。僕も、自分が存在することが苦痛な空間には、なるべくいないようにしているんです。
実は僕、結構人からどう見られているかを気にするタイプなんですよ。お店に入って、中学生のグループが笑ってるのを見ると、自分のことを笑われてるような気がしてしまう。単に自意識過剰なんですけど。
WORK MILL: 「危険を察知する」みたいな感じなのかもしれませんね。
東出: 警戒心が強いんです。食わず嫌いなところもあって、「だまされてもいいから食べてみな」って言われても、食べない(笑)。
WORK MILL: それってある意味、生きる上でも大切な能力かもしれません。私たち日本人は、比較的同調圧力に流されやすいというか、諦めて鈍感になってしまっている。東出さんは、世の中の常識にとらわれないところがあるのでは?
東出: そんなかっこいいものでもないです。僕は基本的に、ネガティブなだけなんですよ。常に失望する日々です。こないだも、レジでもたついて、1日中ひきずってました。落ち込むところまで落ち込んで、「まぁいっか」となる。凹みやすくて、立ち直りは早いんです。ネガティブなことをポジティブに受け止められる、というか。
WORK MILL: まさに「レジリエンス」ですね。そんな東出さんにとって、幸せな働き方はどういうものでしょうか。
東出: うーん……いま幸せかどうか、と考えると、悩むんですよね。最近、キレイな水が流れているような田舎に行くと、「あぁ、ここでしばらく過ごしたいな」と思うこともあって、なんで僕、渋谷に通ってるんだろう、って思います。ないものねだりかもしれませんね。
そういう意味では、やっぱりちゃんとリモートワークが機能するようにがんばりたいなと思います。「なぜこの会社で働くのか」「この人たちと一緒に働きたい」というのが薄れてしまいがちなので、しっかり伝え続ける必要がある。
WORK MILL: それがまさに、新しい働き方を実現するには重要なんでしょうね。
東出: 「幸せ」って、分からないですよね。単純にぜいたくなだけなのかもしれないですけど、あまり現状に満足することはないというか。きっと、死ぬ瞬間までわからないんだろうと思います。
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