「70点の及第点狙いじゃ、その先に何もない」 ココナラ・南章行社長:【新連載】神田れいみの「突撃! 社長のガチンコ人生論」(5/5 ページ)
フリーアナウンサーの神田れいみです。この連載ではさまざまな業界で活躍する経営者にインタビューし、彼ら自身の「働き方」や「生き方」に迫ります。第1回目は、ココナラの南章行社長にお話を聞きました。
目指す未来
南さんが目指す未来についても伺いました。
ココナラは、「一人ひとりが自分のストーリーを生きていく世の中をつくる」というビジョンを掲げています。これは「自分らしく」ということにほかなりません。
自分らしくとは、
(1)「自己実現欲求」 自分がこうありたい。こういう暮らしをしたい。こういう存在でありたいという価値観。
(2)「社会実現欲求」 社会がこうなったらいいな。誰かがこうなったら良いな。という他者や社会に対しての使命感。
この2つを認識して、そこへ向かって意思決定している状態が「自分らしく」ということです。自分なりのイメージを持って、それに向かって生きている状態は気持ち良いと思います。そういう状態に全員があるというのが、ココナラ、そして南さんの目指す未来です。
人々のスキルを売買するココナラには「自分らしさ」を持った人たちが集まっています。自分らしさを持った人の連鎖は、生き生きとした社会を創る。ココナラは、あるべき社会を体現してくれているのだと思いました。
企業買収など派手な仕事をしていた時代、そのころの南さんは、西麻布で1本数万円するようなワインを飲むような生活を楽しいと思っていました。しかし、今は五反田の庶民的な居酒屋で「ホッピー」を飲んでいることも同じように楽しんでいます。結局、何を飲んでいるかは大した話ではなく、同じ目標に向かって頑張っている気心知れた社員や仲間たちと一緒にいることこそが幸せだと思うようになったそうです。
また、休日はトライアスロンやマラソンに打ち込みます。旬のシーズンには毎週のようにレースに出場して、心身ともに追い込んでいます。
常に全力で仕事をして、遊んで、体を動かす。まさに今を生きているそんな南さんの姿を見て、ココナラの社員たちも生き生きと働いているようです。
私は、南さんのお話を聞いてから「私らしさって何だろう?」と、日々自問自答するようになりました。南さんのお話にあった、自分の「好き」や「嫌い」は何かという言葉に当てはめて考えています。
例えば、休日に素敵な場所へ行ってキラキラした写真をSNSに載せているインスタグラマーに憧れるけれど、実際の私はパジャマのまま部屋で寝転がって映画を見るのが好き。愛犬とボール投げをして遊んでいる時間も好き。
仕事の後は外食するより、18時までに帰宅して母とプロ野球中継を見ながら野球話をするのが好きです。中継を観ながら「私が監督なら……」の議論。これがワクワクして、たまらなく楽しい。ファームの試合中継がある時はラッキーな気分になります。ファームの試合を見ていると、勇気やパワーをもらえますから。
このように、自分の「好き」や「嫌い」は何か。その問いと発見の連続が、「私らしさ」につながるのではないでしょうか。今回のインタビューをきっかけに、これからも「私が知らなかった私」をたくさん発掘していこうと思います。
皆さんにとって、自分らしさって、何ですか?
著者プロフィール
1993年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、フリーへ。現在、月曜21時〜NHKBS1「熱血解剖!Bリーグ」MC、水曜22時54分〜テレビ東京「ビジネスレポートS」ナビゲーター、日曜8時〜bayfm「BAY MORNING GLORY」DJなどで活躍。特技は日本舞踊(吾妻流名取)、英会話。
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