「諦めなければ夢はかなう」 豊ノ島との友情が生んだ相撲雑誌:相撲女子を首ったけに(1/3 ページ)
相撲雑誌「TSUNA」が人気だ。編集長は友人の豊ノ島の雄姿に突き動かされ創刊を決めた。独学で「相撲トリビア」を詰め込んだ入門誌を発行し続けた。
6月、イベントスペース「Asagaya/Loft A」(東京都杉並区)で、元力士や相撲担当記者などによるトークイベントが開催された。会場前には行列ができ定員120人の会場はほぼ満席になったが、その大半を占めたのが女性客。力士や相撲部屋にまつわるちょっと下ネタチックな話題が飛び出すと、決まって大爆笑するのも若い女性だ。
イベントを楽しんでいた東京都世田谷区の女性会社員(29)は「3〜4年来の相撲ファンで、年に4回くらい両国に相撲を観戦しに行く。遠藤関の奇麗な四股がとても好き」と熱く語る。定期的に発生する相撲界のスキャンダルについては「(メディアの報道は)勝手に他でやってほしい。自分はファンであり続ける」と、相撲熱はぶれない。
ロックスターの夢抱くも……
日本相撲協会のTwitterで力士の写真がバズるなど、大相撲人気はこうした「リキジョ」「スージョ」と呼ばれる若い女性ファンが支えているとされる。このブームづくりに貢献したと業界でも評判の媒体がある。トークイベントを主催した相撲情報誌「TSUNA」だ。今は主にサイト上でダウンロードされ読まれているが、紙のフリーペーパーのみを発行していたころは国技館などに置いておくと3万部が2日間で無くなる人気を誇っていた。
大相撲については八百長問題や賭博、暴力事件といったスキャンダルで人気が下がり、日本相撲協会を始め業界が若いファン獲得のため懸命にアピールしてきた経緯がある。TSUNAも相撲メディアでは珍しい初心者向けの媒体として情報発信し続けてきた。
ただ、TSUNAを創刊した編集長の竹内一馬さんは「相撲ブームを作ったつもりは全くない。もともとポテンシャルのある競技であり、うちが無くても人気は回復していた」と謙遜する。一方で「新規のファンに相撲を見る上でのマナーを教えてきた」と胸を張る。
竹内さんはもともとコアな相撲ファンだったわけではない。三重県の高校を卒業後、ロックスターになる夢をかなえるため上京した。デビューしてCDを発表していたがちっともヒットせず、当時の自宅近くのJR亀戸駅前で弾き語りして何とかCDを売ろうとしていた。
ある日、若い力士がCDを買ってくれた。そのとき歌っていた曲が「朋輩」というタイトルで、竹内さんの地元では大親友という意味だったが、その力士も「僕の地元の高知でもその言葉を使うよ」と打ち解けたのがきっかけだった。その後、この力士とはよく遊ぶ仲に。「俺はロックスターになる」「じゃあ俺は(幕内の大一番の取り組みがある)18時近くに出られる力士になるよ」と言葉を交わした。
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