大阪勢が東京に“殴り込み” 過熱する高級食パン戦争:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/7 ページ)
大阪でスタートした高級食パン専門店が東京に進出してきている。一方、東京でも高級食パン専門店が次々とオープンしている。過熱する高級食パン戦争の行方は?
老舗も参戦
1942年創業で、食パンとロールパンしか販売しない浅草の老舗「パンのペリカン」(東京都台東区)も、17年8月、本店近くにカフェをオープンした。「ペリカンカフェ」ではサンドイッチやトーストが日替わりメニューで提供されている。
また、乃が美のような食パンの製造販売のみに特化して、チェーン化しようという動きもあり、18年9月、銀座1丁目に「に志かわ」(東京都中央区)がオープンした。ほんのり甘くてふんわりした食パンを1種類のみ扱い、1本(2斤分)864円で勝負している。
天然水よりもph値を高め、各種ミネラルもバランスよく配合したアルカリイオン水を使用することで、絹のようにしっとりとした耳、淡雪のような口どけを実現したそうだ。
水にこだわるに志かわは3年間で100店を出店する計画で、FCを募集しており、年内に関西・中部にも進出する意向だ。乃が美、一本堂と真っ向対決となる模様で、どの店が品質を保持して、飽きない商品を供給し続けるか、高級食パン戦争の行方への興味が尽きない。
東京都清瀬市の西武池袋線清瀬駅前には、「考えた人すごいわ」という風変わりな名の食パン専門店が18年6月にオープンし、これもたちまち行列ができる人気店になった。11月7日には東急東横線・JR横浜線の菊名駅(横浜市)前に、2号店の横浜菊名店をオープンした。口どけのよい生食用の「魂仕込(こんじこみ)」(864円)と、レーズンパン「宝石箱」(561円)の2種類のみを製造販売している。
東京はまだ高級食パンのマーケットがガラ空き状態なので、各社どこまで店舗を伸ばせるかが楽しみだ。また、万が一ブームが去った時にどのように対処して、再び成長できるかまで見届けたい。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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