1000万円かけてたった1人採用の企業も 海外エリート大学生を狙え!:激変の新卒採用サバイバル(2/3 ページ)
日本企業が海外に留学した日本人学生や現地の外国人学生の採用を積極化している。狭い国内では優秀な層を取り切れないため。メルカリでは新卒の過半数が外国籍に。
世界進出に合わせ人材確保
現地でもハイランクの大学出身の2人を採用したレバレジーズの藤本さんによると、同社が海外での新卒採用を本格化させたのはここ数年のこと。18年秋と19年春入社予定の内定者は合計約230人で、うち40人ほどが海外の大学に通う学生だ。大半が日本人留学生だという。
ただ、同社は海外の大学出身者を特に評価して採用しているわけではないという。「国内は人手不足のため、採用する学生の質を妥協したくなかったので海外からも採ることにしただけ」(藤本さん)。また同社は今後、5年間でインドや南米など世界25拠点に人材系のサービスを展開するため、進出先の国の言葉が話せる人材を狙った。
パナソニックや経済産業省も海外で採用
海外の大学生をターゲットにした人材紹介サービスも活況だ。人材大手のネオキャリア(東京都新宿区)は日本人留学生と海外の外国人大学生の両方を日本企業とマッチングさせるサービスを、それぞれ展開している。
日本人留学生向けは、米国ならマサチューセッツ工科大学といった欧米やアジアのエリート大学の学生と企業を引き合わせる「BALJOB」だ。参加した企業・団体はパナソニック、サントリー、経済産業省など有名大手を中心にのべ約200社・団体。中には約1000万円のイベント参加費を払ってニューヨークに出張し、学生たった1人を採用した大企業もあったという。ネオキャリアの担当者は「企業は優秀な留学生を採用することで組織に新しい血を入れたいのでは」とみる。留学生は日本を離れており就活の方法が分かっていない場合も多く、うまくマッチングする機会にもなるという。
ただ同社の担当者によると、こちらのエリート留学生を狙った紹介サービスは10年前には既にスタートしており、人気も安定しているという。むしろ今急速に伸びているのが、アジア各国の大学に通う日本語を話せる外国人の若者を日本企業と引き合わせるサービス「Bridgers」だ。
対象となるのは中国や韓国、台湾など10カ国の大学生。BALJOBほどのエリート層ではないが、日本でいうと有名私立くらいのクラスの学生が集まっている。利用する日本企業は2年間でのべ約400社に上る。ライトオンなどの大手小売りや飲食、ホテルといったインバウンド需要が高かったり、人手不足にあえいだりしている業種が多い。就職する場所の7割は東京以外で、人手が回ってこない地方企業のニーズも賄っている。
学生側からも毎月3000人ほどが応募してくる人気で、開始2年で約1600人を日本企業に送り込んだ。ネオキャリアは現地で1社単独の集団面接会を開き、あらかじめ担当者が面接対策を施してある外国人学生と企業の人事を引き合わせる。うまくいけばその場で内定から学生側の承諾まで完了する。同社の担当者によると1回の面接で内定率は平均53%、そこからの学生の承諾率は93%に上るといい、日本の就活よりはるかにスピーディーだ。
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