1000万円かけてたった1人採用の企業も 海外エリート大学生を狙え!:激変の新卒採用サバイバル(3/3 ページ)
日本企業が海外に留学した日本人学生や現地の外国人学生の採用を積極化している。狭い国内では優秀な層を取り切れないため。メルカリでは新卒の過半数が外国籍に。
ライバルはアリババなど世界のIT大手
新卒の大半を海外の大学出身者から採った企業も登場した。メルカリでは、18年春と秋の入社した新卒75人のうち44人が、インドをはじめとする海外10カ国の大学から来た外国籍の学生となった。多くはエンジニア職だ。インドであれば、国立で理系の名門校として知られるインド工科大学をターゲットに学生を集めた。
同社の採用担当マネジャーの小山浩平さんは「日本という母集団の少ない中で新卒を取り合うだけでなく、世界中の優秀な人を採っていく。海外の優秀な学生は今後うちの競争相手となるグローバルカンパニーも採りたがる人材。自然と競争力の強化につながる」と指摘する。
実際、小山さんが面接で会った海外の学生には、中国のアリババグループといった新興のIT大手を併願していると明かした人もいた。日本の学生の感覚ではよくある「メルカリのユーザーなので興味を持った」という志望動機より、IT系のメガベンチャーという立ち位置を気に入って受ける若者が多いという。
日本の老舗企業よりもむしろ海外の有名ITとの新卒争奪戦に飛び込むメルカリ。そこで同社が強みにしているのが、外国人社員に日本語能力を求めない点だ。仕事では日本語の使用を強制せず、英語でのやりとりのみもOK。既に社員の1割は30カ国から集まった外国人が占める。社内には翻訳専門のチームがあるほか、既に英語だけで仕事している部署も少なくない。
今回メルカリが採用した外国籍の新入社員にも日本語能力は不問で、面接は英語で行った。全員、日本語は基本的に話せない。「むしろ日本人の方が英語を自発的に勉強するようになってきた。今後もこの採用方針は続けていく」(小山さん)。多くの日本企業が狭い国内での新卒の取り合いに躍起になる一方、世界規模での高レベル人材の獲得競争が日本でもリアルなものになってきている。
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