熊田曜子親子拒否事件に見る、正しい点と間違った点:親1人に子は2人まで(4/4 ページ)
3人の子持ちである熊田曜子さんが、墨田区の児童館の中の施設に入ろうとしたところ、「親一人に子は二人まで」という規制で入れない事件がありました。融通の利かない施設への批判が出ていますが、制度運営側とユーザー側の折り合う点はあるでしょうか?
万が一の事故への対応を考えれば、保護者1人子供2人には合理性があります。問題はここではなく、それをどう知らしめたか、また実際の対応をどこまで考えられたかです。Webサイトはもちろん、児童館入り口でも、こうしたトラブルを呼ぶことが明らかなものであれば、朱書きした看板を立てたり、入り口に何重にも注意書きを貼ったりと、広報対策を取るべきでした。
もちろんすべてもことでこうした注意書きが出せないのは当然ですが、新規オープンで人気もあり注目を浴びるようなものと、ほとんど利用者もないようなものは当然現場なら区別できるでしょう。100%の対応などできる必要もなく、限りなく問題発生を極少化できる対策を打っておくのが、本来あるべき公共サービスだと思います。「少子化に逆行する!」というクレームは、区長やこの施設を作った人、政治家にいうべきことで、少なくとも窓口担当者ではありません。
最後に、この墨田区東向島児童館分館のある向島で育った私。コンプライアンスなどと呼ばれるものが存在しなかった時代の下町では、他人の子供を叱るどころかぶん殴るオヤジがおり、児童館そばに昔あったマンモス公園では同級生のキヨヤス君が大すべり台から勝手にジャンプして転び、顔面から着地して大流血したけど何もなかったこととして、その後も遊び続けた時代でした。 (増沢隆太)
著者プロフィール:
増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
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