熊田曜子親子拒否事件に見る、正しい点と間違った点:親1人に子は2人まで(3/4 ページ)
3人の子持ちである熊田曜子さんが、墨田区の児童館の中の施設に入ろうとしたところ、「親一人に子は二人まで」という規制で入れない事件がありました。融通の利かない施設への批判が出ていますが、制度運営側とユーザー側の折り合う点はあるでしょうか?
(3)サービス提供の原理原則
熊田さんの事件で、「一人くらい多めに見るべき」「困った母親がかわいそう」という意見は、「区役所の窓口が5時ピッタリに閉まるのは怠慢」と同類の批判でしょう。実際熊田さん一人を大目に見たからただちに事故があると決まったわけではありませんし、区役所窓口に至っては、まだまだ職員の方がいるわけで、難しい処理ではなく単に書類提出に支障があるとは思えません。
しかしこうした人情は、サービス提供においては明確に切り捨てなければなりません。なぜなら区役所のような公的サービスは、「全体の奉仕者」であり、一部のための奉仕者ではないからです。5時1分に窓口に来た人の書類を受け付けている最中、5時6分に次の人が来たらどうするのでしょうか? その人も受付けている中、さらに5時11分になったら?
区役所の入り口を、5時ジャストに閉鎖し、その後入ることができないようにする銀行方式は一つのアイデアです。この方式を採れば、例外扱いを無制限に行うことはなく、最大でも処理すべき人数は決まります。役所でも警備員さんなどを導入し
(1)時点でそこにいる人まで受け入れる
(2)処理スピードを判断して、5時前から新規受付終了時間を設定する
といった対策を取ることで、対応はできるようになるでしょう。
児童館のすくすくルームは親と子供の比率制限を設定した段階で、こうした事象が起こることは当然予期しなければならないのです。その準備が、結果として単に「利用方法に書いてあっただけ」だったことが騒動となりました。
区役所の方針は全く間違っていません。しかしサービス提供の現実を無視してしまったことは、準備不足として経営者が責めを負うべき問題です、この場合の経営者が区長なのか施設長なのかはわかりませんが。
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