「働かない」ことばかり注目されている日本は大丈夫か?:ここが変だよ、日本の「働き方改革」(3/4 ページ)
15年間勤めた経済産業省を退職し、ベンチャー企業を起業した元官僚が語る「働き方」とは? 第1回は「働かない」ことを重視し過ぎている日本の働き方改革にメスを入れる。
日本メーカーの衰退の原因にも
しかし、今の日本を見ていると、頑張っている世界の国々と比べてどんどん「稼げない」国に成り下がっているにもかかわらず、しっかりと給料はもらって、休みもたっぷりもらうという考え方ばかりが浸透しているように感じる。
先日、大手メーカーのエンジニアとして何十年も勤務した方と対談する機会があった。昔は仕事に熱中しすぎて気付いたら深夜を回っていたことが何度もあり、そういう熱量があったからこそ革新的なプロダクトを次々と世の中に送り出すことができたという話を伺った。
しかし、最近は残業規制が厳しくなってしまったため、彼のような熱血漢のエンジニアが会社で思い切って仕事ができなくなっており、そういう人たちは仕事ではなく趣味に没頭する傾向が強まっていると聞いた。
このような傾向が要因となっているのかもしれないが、今では世界をけん引するグローバル企業といえば、Google、Amazon、Facebook、Appleなどの米国ITジャイアントや、バイドゥ、アリババ、テンセントなどの中国ITジャイアントが代名詞になってしまっている。しかし、私の幼少期に世界をけん引するグローバル企業といえば日本メーカーだった。父が大手家電メーカーに勤めていたこともあり、エレクトロニクス産業にどうしても目が行く傾向が強いが、80年代や90年代は世界中のどこにいっても日本の家電メーカーのロゴが街中にあふれていた。ポータブルエレクトロニクスや白物家電を買うときも日本メーカー以外のものを買うことなど想定外であった。
ところが、最近はどうだろう? グローバル規模の家電メーカーというと、韓国企業や中国企業の存在感がすっかり大きくなってしまった。また、ポータブルエレクトロニクス(今では誰もそんな呼び方をしないが)も米国、韓国、中国の製品ばかりになってきている。白物家電でさえも、高級品となると英国、米国、あるいは日本といってもベンチャー企業のものが多くなった。
こう書くと、では、高度成長期のようにがむしゃらに働く「モーレツ社員」の時代に戻るべきだと主張しているのかと思う人もいるかもしれない。いや、そうではない。
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