AIが無くすドブ板営業 Sansan、名刺データから最適な“出会い”提案:勘や経験だけに頼らない(1/2 ページ)
Sansanが名刺データをもとにビジネスで「次に社外の誰に会うべきか」をAIが提案するサービスを展開。アナログな営業手法を最適化する鍵に。
顧客企業を攻略するために、社内の誰がどの人間にアプローチするべきか。特に商品やサービスを売り込む営業担当にとって重大な戦略だが、普通は担当者や部署ごとに持っている限られたアナログな知験で判断されがちだ。いまだに人海戦術でひたすら電話をかけまくる企業も少なくないのでは。
ビジネスで「次に誰に会うべき人」を提示
法人・個人向けの名刺管理サービスを手掛けるSansan(東京都渋谷区)は、名刺から得られた情報を元に「社外の誰と会うべきか」をAI(人工知能)が提案するサービスの開発を進めている。名刺を通じて社内に蓄積された人脈の活用方法を、AIがデジタルに導き出して営業活動などに生かすというものだ。
同社の武器は、法人向けサービス「Sansan」で7000以上の顧客企業・団体から集められた膨大な名刺の情報だ。デジタル化されたこれらのデータを元にまず3月から順次、Sansanの導入企業に「スマートレコメンデーション」機能を実装し始めた。
これは顧客企業が自社内に持っている名刺データの中から、サービスにアクセスした社員が「次に社外で会うべき」相手をAIが選び出して紹介するというもの。例えば広告営業を担当する社員には、社内で他の社員が名刺をもらった広告業界に関係しそうな取引先の人間の情報が提示される。
1度の検索で最大10人まで社外の人間が提案される。この時点では、提示された人物の名刺を社内の誰が持っているかまでは表示されない。アクセスした社員が「興味あり」のボタンを押すとチャットが立ち上がって、名刺を交換した社内の人間にその人を紹介してくれるようお願いすることになる。
同社のデータ統括部門で本サービスの開発を指揮する取締役の常樂諭さんによると、導入企業の中には10万枚規模で名刺を保有する銀行のような大手も少なくない。「これまでもサービスを使って能動的に社内にある名刺を調べることはできたが、(有用な人脈は)なかなか気付かれないことが多い。膨大な数の名刺からピンポイントでうまく検索するハードルは高かった」(常樂さん)。
社員によっては、自分の持つ名刺の情報が社内の人間であっても勝手に使われるのをよく思わない可能性もある。システム上では他の社員に自分の知り合いの紹介を要請されても拒否することが可能という。加えてSansanのカスタマー担当者が「名刺情報は勝手に使わない」などと導入企業にレクチャーすることで、トラブルを防いでいるという。
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