ソ連で生まれた1100代目の「ハエ」が、なぜ注目されているのか:水曜インタビュー劇場(45年以上前公演)(6/7 ページ)
旧ソ連で生まれたハエが、世界を救うかもしれない――。このような話を聞いても「はあ? バカじゃないの?」と思われたかもしれないが、日本でひそかに選別交配を続けたことで、飼料と肥料を大量生産できる話があるのだ。どういった話かというと……。
持たない経営×ストックビジネス
土肥: 次に、ビジネスモデルの話を聞かせてください。たくさんの飼料と肥料をつくって、どのようにしてお金を回していくのでしょうか?
流郷: 2019年9月に、自社プラントを完成させる予定です。しかし、2号機以降は、オーナーさんに入っていただければなあと。オーナーさんは地方自治体かもしれませんし、どこかの組合かもしれませんし、ファンドかもしれません。プラントとイエバエの卵をオーナーさんに買っていただいて、当社は管理・運営を行う。フルオートメーションで行うので、有機廃棄物や幼虫などに触れることはありません。ご心配なく(笑)。
じゃあ、できたてホヤホヤの飼料や肥料はどうすればいいんだ? と思われたかもしれませんが、当社が全額買い取りますので、オーナーさんには利回りが入ってくるといった形ですね。
土肥: オーナーはプラントを購入して、定期的に卵を買わなければいけない。プリンターとよく似たビジネスですね。本体を購入してもらって、インクがなくなれば、カートリッジを買ってもらうという意味で。それにしても、なぜ自社プラントは1つだけなのでしょうか?
串間: 自社で保有すれば、利益率は高くなるかもしれません。ただ、当社の規模で、すべてのプラントを保有するのは難しい。社会性のあるビジネスであること、海外で競合が大きくなっていることなどを考えると、できるだけ速いスピードで普及させたいんです。
土肥: でも、「オーナーになりたい」と手を挙げる人がいなければ、スピードは減速します。
串間: 自社プラントが完成して、「ちゃんとできるんだ。きちんと流通して、お金になるんだ」となれば、たくさんの人が手を挙げると思うんですよね。100件、いや、もっとかも。
土肥: ええっ、そんなに? ちょっと信じられないなあ(疑惑の目)。
串間: 引き合いがたくさん来ているんです。なぜ、たくさんの人がイエバエに興味を持っているのかというと、世界的に食糧不足が進行しているから。先ほど魚粉の話をしましたが、これも天然資源。人口が増加しているなかで、魚粉の代替物を提供できるわけです。
また畜産糞尿を処理するのに、全国で年8000億円ほどかかっているんですよね。誰かが負担しているわけですが、当社はそれを必要としている。引き取るわけなので、先方は負担が楽になりますよね。このように考えると、このビジネスは必要性に迫られていると言えるのではないでしょうか。
土肥: 財務計画を見ると、プラント数は2022年に「100」、2024年に「210」と書いてある。強気ですねえ。
串間: いえ、そんなことはありません。コンサバ(保守的)な数字だと受け止めてください。この数字には海外の施設は含まれていませんので、合計すればもっと増えると思っています。
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