残っても地獄、辞めても地獄……多くの日本人が悩む働き方の現実:ここが変だよ、日本の「働き方改革」(3/4 ページ)
「会社を辞めるべきか、このまま続けるべきか」。そんな悩みを持つサラリーマンは多いだろう。筆者も相談をよく受けるという。しかしながら、日本の場合は「残っても地獄、辞めても地獄」ということが多々あるので、よほどの強い覚悟が必要なのだ。
業績低迷が長年続く大企業について、「うちの本社の幹部は自分のポストと個室と運転手付きのクルマのことばかり気にして、会社や事業のことは誰も本気で考えていない」と語っていた人がいた。また、とある大企業の役員は社内の大半が「傍観者」になっていると嘆いていた。経営や事業が「自分事」になっていない人がどれだけいても会社が良くなるはずはない。若い人ややる気のある人のモチベーションは下がり、業績は悪化する一方だろう。
破壊的イノベーションが急速に進んでいる業界でも、新しいことにチャレンジしなければならない必要性はほぼ全員が理解しているだろう。しかし、いざリスクをとって実際にチャレンジするという具体的な話になると、途端に「自分ではなくて誰かにやってもらえないか」となってしまう。
それだけの差し迫った事態なのであれば、自分事でやってくれる人には高給を支払う、待遇を良くする、中途採用であっても任せるといった大胆な意思決定をすべきだと思うが、それを認めれば認めるほど既存の秩序を否定することになるので、結局そこまでの決断もできないままとなる。
こうやって既得権益をできるだけ長く維持し、何とか小手先の対策だけで乗り切ろうとするので何十年かかっても生産性は上がらず、低成長やデフレからも脱却できないのが今の日本の現状ではないか。
外国人労働者の問題が国会やニュースで連日取り上げられている。3K(きつい、危険、きたない)の仕事を彼らに押し付けることが問題なのは当然であるが、本当に外国人に門戸を広げるのであれば、真面目に働いてくれる人や有能なスキルのある人には「ぜひとも日本で頑張りたい」と思ってもらえる職場環境や待遇にしなければ、小手先で門戸を広げても失敗に終わるに違いない。
米国や中国やシンガポールはそうやって世界中から真面目に働く人や有能な人を集める仕組みを作ってきたから世界的な競争力を持つ会社を何社も生み出しているのだ。世界第3位のGDPの座も失いかねない日本が本気で変わるつもりがあるのであれば、米国や中国やシンガポールと比べて魅力的な環境を作らなければ外国人は日本で働きたいとは思わないだろう。
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