AKB48・岡田奈々のプレゼン術 あの名言はいかにして生まれたか:アイドルというキャリア(1/5 ページ)
AKB48グループが年に1度開催する選抜総選挙。そのイベントの中で目玉の一つがメンバーによる壇上でのスピーチだ。ここに並々ならぬ思いを込めている岡田奈々さんはどのような姿勢でプレゼンテーションに臨んでいるのだろうか。
「自信をもってオタク人生を貫いてください!」
2018年6月にナゴヤドームで行われたAKB48世界選抜総選挙で、こんな発言が話題になった。
アイドルグループのAKB48とSTU48を兼任する岡田奈々さんが第5位を獲得した際のスピーチだ。補足すると、今の自分にできることは、AKB48グループでの人生を全力で生き抜くことであり、それがグループの未来につながると信じて、走り続けたいという内容の後に飛び出した言葉である。つまり、私も全力でぶつかるから、ファンの皆さんもオタク人生を全うしてほしいというメッセージが込められている。
通常であればファンのことを「オタク」と表現するのはまずあり得ないが、それをあえてストレートにオタクという言葉を使ったところに意外性やユーモアがあった。その瞬間の会場は大歓声と笑いに包まれた。
「実はあれ、とっさに出てきた言葉なんです」と岡田さんははにかむ。
「ほかのメンバーも含めて、普通は『ファンの皆さん』とオブラートに包んで言うと思います。でも、応援してくださっている皆さんはすごく熱いですし、AKB48グループが好きだという思いがいつも溢れていますし、それが私たちを全面的に支えてくれているので、自分もちゃんと向き合っていかねばと感じました。そこでファンではなく、より親近感のあるオタクという言葉になったのです」
反響は絶大だった。まさかオタクと言われるとは思っていなくてびっくりした、そう呼んでもらえて嬉しかったなど、さまざまな声が岡田さんの元へ寄せられた。ファンの間でも総選挙全体でMVP級のスピーチだったと評された。
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