特集
野球盤で追い求める“本物” 「9コース投げ分け」進化の舞台裏:「データ野球」も疑似体験(4/4 ページ)
誕生60周年の「野球盤」が、どんどん進化している。最新モデルでは、投手が9コースに投げ分けたり、球速と投球コースをリアルタイムで電光掲示板に表示したりする機能を搭載。このような進化をどう実現したのか。エポック社の古田望さんに聞いた。
「データ野球」も再現 戦略を練る面白さ
最新モデルには、球速と投球コースを瞬時に計測し、電光掲示板に表示する機能もある。ボールを押し出す軸の速度と位置をセンサーで読み取ることで、実際に飛んだボールのデータを得ているのだ。
試合終了後には、全ての配球を確認できる。試合を振り返って次に生かすことも可能だ。
「野球盤はシミュレーションゲームなんです。いかに本物の野球を感じてもらうか。機能が進化していっても、その原点を忘れないようにしたいと考えています」
データ野球の時代になり、野球盤にも「分析」の要素を取り入れた。ハイブリッドバットも、複数の材料で作られたバットが受け入れられるようになったからこそ開発できたものだ。形になっていないアイデアはまだたくさんある。時代に合わせて新しい話題を盛り込んでいく。
「まだまだ通過点です。3Dピッチング機能はこれが完成ではないし、バッターももっと本物に近づけることができる。ピッチャーとバッター以外の部分に焦点を当てることも考えられます。次は何を見たいか、という期待に応えて、3世代で遊んでもらえるものにしたいですね」
昔からあるものだからこそ、「野球盤でこんなことまでできるのか」という新鮮な驚きがある。その進化の裏側には、わずか数センチ、数ミリ単位を追求する姿勢があった。これからもその魅力が色あせることはないだろう。
関連記事
- 「1本3000円」のシャープペンをヒット商品にした、“近寄りがたさ”
ぺんてるが2017年に発売した高級シャープペンシル「オレンズネロ」。1本3000円という価格でも、幅広い層に受け入れられ、ヒット商品になった。何が多くの人の心をつかんだのか。企画担当者の取り組みに迫った。 - “大人”にも人気! 「ベイブレード」が再び大ヒットした理由
1999年に発売されたタカラトミーの玩具「ベイブレード」が、再び大ヒットしている。もともとベイブレードは男子小学生を対象とした玩具だが、20代男性を中心とする大人のユーザーからも人気が高いという。再ブームの仕掛け人に話を聞いた。 - 東芝のラジカセが売れている背景に何が? 企画担当者に聞く
東芝エルートレーディングのCDラジカセ「Aurex TY-AK1」が売れている。50代から多くの支持を集めているわけだが、どのような機能が搭載されているのか。同社の開発担当者に話を聞いた。 - 1250円の「カレー専用スプーン」は、どうやって開発したのか
カレーライスを食べる時、スプーンにこだわる人は多くないだろう。出されたものを使うか、無意識に選んだものを使っているはずである。しかし世の中には、カレー専用につくられたスプーンがある。その中でも現在、注目を集めているのが、「カレー賢人」だ。 - 400万DLの女性向けアプリを立ち上げた、新卒男性リーダーの成長
Gunosyが2017年にリリースした女性向け情報アプリ「LUCRA」が400万ダウンロードを突破。立ち上げたのは、若手男性社員である渡辺謙太さんだ。「若手」「男性」という不利を跳ね飛ばし、新サービスをヒットに導いた渡辺さんの仕事術とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.