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トヨタがスープラを「スポーツカー」と呼ぶ理由:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
長らくうわさのあったトヨタの新型スープラが、年明けの米デトロイトモーターショーで発表されることになった。今回はそれに先駆けて、プロトタイプモデルのサーキット試乗会が開催された。乗ってみてどうだったか?
トヨタはなぜスープラをスポーツカーと呼ぶのか
筆者は、トヨタが新型スープラをためらわずに「スポーツカー」と呼んだことが意外だった。歴代のスープラはGTだったはずである。
スポーツカーの定義は十人十色なのかもしれないが、筆者の概念では車両重量1トンに分水嶺があり、本来はその内側にあるべきだと思う。仮に1トンを越えたとしても1割程度が許容限度で、重量面に関する限り、1.4トン程度と思われる今回のスープラをスポーツカーと呼ぶのはためらわれる。
一方でシャシーのディメンジョンは相当に本格的である。従来の2+2シーターを諦め、純粋な2シーターにしてまで2470mmのホイールベースを達成しているところはこれまでのスープラとはハッキリ違う。
主査によれば、「曲がるシャシー」を作りたかったそうで、そのためにはホイールベース/トレッド比で1.6を切りたかった。ナンバー付きのクルマなので横幅の増加には限度があり、どうしても1.6切りに拘るのであればホイールベースを短くするしかない。それには後席が邪魔だったというストーリーだ。
商業的にはかなり難しいトライである。リヤシートは人が座るためだけでなく、荷物を放り込んでおくためのスペースとしてGTの商品性の重要なポイントのひとつである。GTであることを諦めない限り、リヤシートは捨てられない。GTでなければ何なのかという問いに対するトヨタの答えがスポーツカーということになっているのではないだろうか?
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