「キングカズではない。キングジムである」 中の人に聞く、愛される“伝え方”:水曜インタビュー劇場(妹公演)(3/6 ページ)
文房具メーカー「キングジム」のTwitterフォロワー数が、30万人を超えた。多くの企業アカウントはフォロワー数が伸び悩んでいるのに、なぜ同社は増えているのか。中の人に聞いたところ……。
やわめ、かための黄金比率
土肥: リリースに書かれていないことを紹介する、ということは担当者に取材しているのですか?
妹: はい。担当者に「なぜこの商品をつくったのですか?」「どういった人に使ってほしいですか?」といったことは必ず聞くようにしています。変なネーミングであれば、「なぜこんな名前にしたのですか?」を聞いて、その情報をTwitterで紹介することも。
このようなやりとりをしているので、多くの担当者は姉妹が何を求めているのか、少しずつ分かってきたのかもしれません。「このネタ、Twitterで使えると思うんですよ」「こういうネタはどうかな」といったやりとりが増えてきました。
ただ、やわらかいネタばかりだと、フォロワーさんも疲れてしまうかもしれません。「またかよ」「もう飽きたよ」といった感じで。そうなってはいけないので、商品情報もきちんと紹介することにしています。先ほど申し上げたように、その際にはリリースをコピペするのではなく、話し言葉を交えながら紹介しています。
土肥: やわめ、かための黄金比率はあるのですか?
妹: ズバリ、7:3ですね。やわめが7割、かためが3割。きちんとした情報を知りたい人もいらっしゃるので、バランスを考えながらつぶやくようにしています。
土肥: やわめのネタが7割ということですが、「これを書いたら炎上しないかなあ」「大丈夫かなあ」と不安を感じることはないですか?
妹: 炎上に関しては、「こういうことをしてはいけません」といったマニュアルはありません。ただ、政治、宗教、特定のスポーツチームには触れないようにしています。あと、けなされたり、傷つけられたりすると、人って怒りますよね。「チョコレートは甘いから、嫌い」と書くと、チョコ好きな人はいい感じで受け止めません。というわけで、嫌な気持ちにさせたり、傷つけたりしなければ、大きな炎上にはならないのかなあと。
「なぜそんなことを書くのですか?」といった指摘があった場合でも、真摯(しんし)に対応するようにしています。火だねがあるにもかかわらず、そこにきちんと対応しなければ、炎上に発展するかもしれません。そうなってはいけないので、ダメなことはしっかり謝るようにしています。そこは徹底しています。
土肥: やっちゃったなあという経験はありますか?
妹: ワタシは観劇が大好きなので、「先日、〇〇を見てきました。とてもよかったです」とつぶやいたところ、別の劇団で活躍されている人から「よかったらウチにも来てください」という連絡をもらって、その舞台に行ってきました。
無料で招待されたことをツイートしたところ、「チケットを買った人もいるのに、招待されたことを書くなんて、おかしくないですか?」という意見をいただきました。この指摘をされたとき、確かにそうだなあと受け止めたので、「すみませんでした。以後、気をつけます」と謝罪したところ、その後大きな事態には発展しませんでした。
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