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僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。

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“いい人”のイメージとは程遠い「素顔」

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2016年発売の日本語版『永遠の少年:ジャッキー・チェン自伝』(ダイヤモンド社)

 そして隠し子の話に加え、以前出版した自伝の英語版が最近になって発売されたことが英語圏で大きな話題になっており、あらためてジャッキーのネガティブな話が広まっているのである。

 日本ではすでに翻訳版が発売されているこの本では、ジャッキーは愛人だった元ミス・アジアの女性についても言及。息子が小さい頃にイラついて投げ飛ばしたことがあるという話、若い頃に稼いだ金をギャンブルと売春婦に使っていたこと、飲んだくれて車を運転していたことなど、自身の素顔を赤裸々に暴露している。

 欧米では、子供たちを中心に人気が高い、憧れのジャッキーにそうした黒いイメージは皆無だと言っていい。いつも笑顔を絶やさず、ファンサービスは厭わない。いかにも「いい人」というイメージだからこそ、この暴露満載の自伝によるインパクトは大きかったようだ。

 中国との関係、若かりし日の悪行、隠し子、同性愛――。大人になったジャッキーファンたちは、さまざまな情報にさらされ、もう純粋にジャッキー・チェンのアクション映画を楽しめなくなってしまったのではないだろうか。

 英語版の刊行で、世界的にもそんなファンがさらに増えることになるだろう。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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