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えっ、盗まれないの? 無人の古本屋は、なぜ営業を続けられるのか水曜インタビュー劇場(2坪公演)(5/6 ページ)

東京の三鷹駅から徒歩15分ほどのところに、無人の古本屋がある。広さ2坪のところに、500冊ほどの本が並んでいるだけ。「誰もいなかったら、本が盗まれるのでは?」と思われたかもしれないが、実際はどうなのか。オーナーに話を聞いたところ……。

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最低限のオペレーションで運営

土肥: オープンして売り上げは好調。その後も店を続けていることで、周囲の声が変わってきたのでは?

中西: 変わりました。オープン前、大反対していた人たちからは「オレは成立すると思っていたんだよ」といった声も(笑)。このとき、コロンブスの卵のように口だけではなくて、実際にやらないと人はなかなか信じてくれないのかなと感じました。

土肥: 世の中にないモノは、実際につくってみせないといけないと。

中西: 先ほども申し上げたように、コンサルタントとして「やればいいじゃないですか」と言っておきながら、自分は何もやってこなかったので、無人古本屋をやると言っても、周囲は「本当に自分でやるの?」と信じてくれなかったのかもしれません。


店内に「本の買い方」を掲げている

土肥: オープンして5年以上がたちました。なぜ継続することができたと思いますか?

中西: 最低限のオペレーションで運営しているからだと思うんですよね。本はどのように仕入れているのかというと、自分で買って読み終わった本のほかに、店に箱を設置していて、誰かがそこに本を置いてくれる。人からいただいた本に値段が書かれたシールを貼って、棚に並べるだけ。あと、決済はカプセルトイがやってくれることも大きい。

土肥: 300円と500円のカプセルトイを設置していて、300円の本を買おうと思ったら、300円用のカプセルトイにお金を入れるわけですよね。

中西: カプセルのなかに入っている青と黄のビニール袋がポイントなんですよ。なぜビニール袋を入れているのかというと、無人販売所で購入した場合、お客さんは「自分はお金を払って古本を買った。このことを誰かに伝えたい」と感じるんですよね。

土肥: 誰かに伝えたい? どういう意味でしょうか?

中西: 無人販売所で古本を買ってお店を出ても、本を持っている人を見てお店の周囲を歩いている人は「無断で持ち帰っているのではないか」と疑うかもしれません。ただ、決済をカプセルにして、中に入っている特徴的なビニール袋に買った本を入れることで、購入者は「この店で購入しましたよ」という意思表示ができる。他人は、袋に入っている状態を確認することができるので、「この人は店で買ったのね」ということが分かる。

 本をビニール袋に入れず、店から出てきたらどうなるのか。それを見た人は「盗んだのでは?」と思われる方もいるかもしれないと思ったんです。そして、お客さんはお金を払って購入したことを証明することができるので、もやもやしたストレスを軽減することができるんですよね。

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