元プロ野球選手の古木克明さんが起業してまで成し遂げたいこと:“型破り”な人生(3/4 ページ)
「松坂世代」の強打者として甲子園を沸かせ、ドラフト1位でプロ野球の世界に飛び込んだ古木克明さん。その後、野球を辞めてプロ格闘家となり、そして再びプロ野球選手を目指したのを知る人も多いだろう。そんな古木さんは現在、自ら事業を立ち上げて日々挑戦を続けている――。
子どもたちを教えながら自分も変わった
Baseball Surferにはどのような思いが込められているのか?
「日本の野球をもっとカッコ良くしたい」と古木さんは力強く語る。例えば、野球ファンでなくても大リーグのニューヨーク・ヤンキースの帽子をファッションとして取り入れている人は多いが、日本の球団の帽子を同じような理由でかぶっている人はほぼいない。
野球の指導方法についても言及する。「米国から新しいスタイルが入ってきて、トレーニングのための科学的な分析などが進んでいるにもかかわらず、日本の多くの指導者のやり方は変わっていません。手を出す暴力は少なくなったと言っても、まだ言葉の暴力はあります。理不尽というよりもダサいなと思うんですよね」
そういう状況に対して新たなスタイルを提案するのがBaseball Surferなのだという。
実際、古木さんの野球スクールは楽しむことが最優先だ。例えば、トスバッティングの最中に「山手線ゲーム」をしたりする。飽きさせないための工夫である。
指導中の笑顔も絶やさない。「子どもたちを怒るコーチが僕は好きでなかったし、そういう人の話は聞きたくないと思っていました。だから自分はできるだけ笑顔でいようと」。
人に教えるのは性に合わないと古木さんは苦笑いするが、どうせやるならコーチングのプロとしてもっと進化してやろうと考えている。1つのことをアドバイスしただけで結果が出る、それがプロだと言い切る。
「例えば、バッティングセンターで打者の後ろから『ちょっとこうした方がいいよ』とアドバイスすれば、いきなり次から打球の質が変わる。最高ですよね。そういう漫画のような指導をしてみたいですね」
子どもたちを教えることは、古木さん自身の学びにもなっているようだ。もともと引っ込み思案な性格で、自分からガツガツ行くタイプではないそうだが、いろいろな子どもたちと日常的に接することで、他人とのコミュニケーションを面倒くさいと思うことが減ってきた。
そうして視野が広がったおかげで、捨てていいことと、拾うべきことが明確になった。「昔だったらすべて聞き入れて、何もかも自分の中に取り込んでやろうと思っていました。徐々にではありますが、今では取捨選択して意思決定できるようになりました」と古木さんは力を込める。
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