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4年ぶり「春のアイス値上げ」の真相:消費者心理まで冷やす?(1/2 ページ)
今春にアイス各社が一斉に値上げ。原材料に加え流通費高騰が原因で、特に冷凍品の輸送は労働環境がきつく人手不足が顕著。
3月、菓子メーカー各社がアイスの主要ブランドを一斉に値上げする。アイスの大規模な値上げは2015年以来、4年ぶりとなる。食品の値上げでは原料価格の上昇が理由としてよく挙げられる。今回も、乳原料をはじめアイスの原材料の高騰が影響しているが、実はもう少し構造的な問題も背景にあるようだ。
雪見だいふくにジャイアントコーンも
今回対象となるのは大手5メーカーのアイス商品。江崎グリコではパピコ、ジャイアントコーン、アイスの実などを10〜50円値上げする。森永製菓はチョコモナカジャンボなどを10〜20円、森永乳業ではピノやPARM(パルム)など10〜30円。明治はエッセルスーパーカップなど10〜50円、ロッテでは爽や雪見だいふくなどを10〜50円値上げする。
メーカー側が値上げの理由としてまず挙げるのは原材料の価格上昇だ。江崎グリコの担当者は「主原料のチョコレート、油脂、乳原料が高騰している」と説明する。段ボールなどの包材も影響しているという。
ただ、値上げを表明している別のアイス大手の担当者は「香料など原料も確かに値上がりしているが、深刻なのが物流費の高騰」と打ち明ける。石油価格の値上がりに加え、特に運送業界の人手不足が人件費を大幅に押し上げている。
帝国データバンクが18年10月に行った「人手不足に対する企業の動向調査」によると、運輸・倉庫業界の企業の70.6%が正社員について「不足している」と回答した。全業種中3位で、前年同月より6.9%伸びている。
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