300万円か給料6カ月分 投資の前に現金を持ってますか?:渋谷豊の投資の教室(7/7 ページ)
資産運用が大事だといっても、すべてのお金を投資に回せるわけではないし、回して良いわけではありません。いったいどのくらいを預金や現金として持っておくべきなのだろうか? 単に生活のための現金という以外に、リスクコントロールのツールとして、またチャンスが来たときのための現金という要素もあった。
サイトウ: いざというときには現金を持っていることが強みになると。そういえば、リーマンショックのときに手持ちの現金を使って安く資産を買い込んで大もうけした投資家の話を聞いたことがあります。
渋谷: プロの投資家が現金を積み上げているというニュースを聞くことがありますね。投資を勉強していくと、「これはいつか下がることに備えて現金をため込んでいるんだな」ということが分かるようになります。
日経平均に沿った運用をするというインデックス投資と、自分で積極的に運用して日経平均より上の成果を目指そうというアクティブ投資というのがあります。お互いに100億円ずつ預かって運用した場合に、インデックス投資では日経平均に連動させるために100億円全部を運用する必要があるのですが、一方でアクティブ投資というのは、「今は投資環境が悪いので、来年価格が底になった時にドカっと買いたい」と思えば、現金を50億円ぐらい投資をせずに残しておいてもいいわけです。
ニュースを聞くほうからすると、なぜ100億円投資せず50億円残しているのか。これは何かあるなと。来年下がった時に買いたいんだな、下落の予兆ありと思うようになるといいですね。
不動産の世界もそうで、持っているものを売るのは利益確定だけではなくて、売って現金を作って、次のチャンスに備えているというニュアンスも強いんです。
話し手 渋谷豊
ファイナンシャルアカデミー取締役。中上級者向け講座では教壇にも立つ。大学卒業後、邦銀勤務を経て、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(MBA)を修了。その後、米系、仏系銀行のプライベートバンク部門にて、富裕層の資産運用業務に13年間従事。2008年の世界的金融危機を体験し中立的な金融アドバイスの必要性を痛感し、独立系投資顧問会社代表に就任した後、さらに幅広い層に金融経済教育を広めるためファイナンシャルアカデミーに参画。現在は投資信託スクールでの講師のほか、Jリーグの選手への講演等も行う。ファイナンシャルアカデミー
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