注目の「カスタマージャーニーマップ」でユニクロを分析 “顧客視点の想像力”を鍛えよう!:ビジネスに役立つフレームワークを知る(5/5 ページ)
顧客の価値体験プロセスを可視化する手法「カスタマージャーニーマップ」が注目されています。実際に作成してうまく活用するには、どうしたらいいのでしょうか。大手企業を分析しながら解説します。
自社のカスタマージャーニーマップを作成する
これまでの作業手順を参考に、実際にカスタマージャーニーマップを作成してみましょう。事前に収集している情報に加え、実際に自身が感じたプロセス上のポイントがあれば、そこをあらためて詳しく情報収集するなどしても構いません。
ポイントとして、顧客の心理状況を考える際には、ポジティブなものとネガティブなものがあるということを意識し、特にネガティブな要素を見逃さないことが重要です。なぜなら、ネガティブな要素の部分に「次の段階に進むかどうか」の判断を左右するトリガーが存在することが多いからです。
例えば、「Webサイトが分かりづらい」と感じていることが分かれば、Webサイトの設計を改善する必要があります。また、「店員の説明が雑」と感じているのであれば、接客を改善する必要があると考えられます。このように、自分都合で顧客のポジティブな要素ばかりに着目するのではなく、不満や不便といったネガティブな要素を逃さず拾っていくことが重要です。
今回は競合企業としてユニクロとAmazonのみピックアップしていますが、特定エリア密着型の競合や、フリマアプリなどをピックアップすることも可能です。ペルソナを設定する際に抽出した顧客が、普段どのような競合と情報を比較しているかをチェックし、適切な調査対象を導き出します。
作って終わりではなく、ブラッシュアップしていく
カスタマージャーニーマップは、マップを作成し、実施する施策を設計したらそこで終了ではありません。実際に施策を実施して得られた定量的なデータや定性的な情報を反映し、さらなる分析、適切な施策のブラッシュアップを行い、よりよい成果を得られるよう改善活動を続けていきます。
今回はテキスト中心にカスタマージャーニーマップを作成する様子を紹介しましたが、イラストやアイコンを使用したり、スマートフォンの画面や店舗の写真など、より現場の様子が分かる情報を付加することも可能です。ぜひ効果的なカスタマージャーニーマップの作成方法を探究してみてください。
また、カスタマージャーニーマップに限らず、業種や課題に応じて活用できるフレームワークはたくさんあります。自社に合った方法を探してみてはいかがでしょうか。発行部数5万部を突破した『ビジネスフレームワーク図鑑』(翔泳社)には、「問題や課題を発見するフレーム」「市場を分析するフレーム」「戦略を立案するフレーム」など、70点ものフレームワークを掲載していますので、参考にしてみてください。
関連記事
- 売れない営業マンが知るべき、2つのフレームワーク
精一杯がんばっているのに営業成果がなかなか上がらない――。ついついこんな言葉を口にしたことがある人も多いのでは。仕事をしていると、なぜこのような不満が出てくるのか。その理由は……。 - 「お客様満足度」を高めることばかり、考えてはいけない
顧客満足度を高めることが大切――。このことを信じて疑わない企業も多いだろうが、実は“そこそこ”でいいことが分かってきた。顧客満足度の結果と将来の顧客ロイヤルティーの間に統計的な関係はなくて……。 - ガチャ切りされない電話術、勝負は最初の15秒
「仕事で電話をするのは苦手」という人も多いのでは。では“ガチャ切り”されないためには、どうすればいいのだろうか。勝負は最初の15秒であって…… - 「値上げはしない」苦境の吉野家が挑む“初めてのマーケティング”
コスト高にあえぐ吉野家が“初めてのマーケティング”に挑戦。新型店舗で女性客を取り込み多彩なクーポンも発行。今後は単価を高くするメニュー提案も。 - 700台のカメラを設置して、スーパーの「トライアル」は何を分析しているのか
スーパーマーケットの「トライアル」が、近未来を感じさせられる店舗を構えた。店内には700台のカメラを設置して、人の動きや商品棚をウォッチしているという。最先端の技術を導入して、どんなことが分かってきたのか。 - スゴ腕営業マンが実践する、「振り子の法則」とは何か
モノやサービスが溢れているので、「何を選んでいいのか分からない」といった人も多いのでは。そうした消費者が多いなかで、営業の担当者はどのように売り込んでいけばいいのか。「快」と「不快」の感情を揺さぶることで……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.