家電ベンチャーUPQ、量産をCerevoに委託し品質向上へ 「同じ轍は二度と踏まない」:「大量生産の難しさ感じた」
家電ベンチャーのUPQが、商品の量産をスマート家電メーカーのCerevoに委託すると発表した。Cerevoのノウハウを生かして商品の質を高める狙い。新体制での第一弾として、燻製器をクラウドファンディング限定で展開すると発表し、支援の受け付けを始めた。
家電ベンチャーのUPQ(アップ・キュー)は1月15日、スマート家電メーカーのCerevo(セレボ)に商品の量産を委託すると発表した。Cerevoのノウハウを生かして商品の質を高める狙いで、UPQは今後、商品企画、プロダクトマネジメント、販売に専念するほか、外部メーカー向けのコンサルティングなどを手掛けていく。
UPQは、カシオ計算機などで商品企画を担当してきた中澤優子氏が2015年に創業。当初は“一人家電ベンチャー”などとして注目を集めたが、程なく同社製スマートフォンの技術基準適合認定に表記ミスが発見されたり、焼損事故が発生したりと、不祥事が続出。17年には「120Hzの倍速駆動」とうたっていたディスプレイの書き換え速度が実際は60Hzだった問題が発覚し、批判を集めていた。
Cerevoは08年創業。アニメ「攻殻機動隊」に登場する「タチコマ」を再現したロボットなどユニークなIoT(モノのインターネット)商品を開発し、国内外で数多く展開しているほか、スタートアップ支援も行っている。
大量生産品を製造・販売する難しさを感じた
中澤代表取締役は「UPQを創業するに当たっては、小ロットでの製造を受け入れてくれる海外の工場などが見つかり、モノづくりへのハードルが下がったと感じた。だが、お客さまにおわびしなければならない事態になるなど、少ない人数の中で大量生産品を製造・販売する難しさも感じた」と説明。
「(参入のハードルは下がったものの)まだまだ(運営の)難しさのハードルは残っている。モノづくりは販売するだけで終わりじゃない。スマホの回収率が50〜60%から伸び悩んでいることもあり、今後はしっかりと顧客サポートを行っていきたい。今までの『ベンチャーだから』という甘えを払拭(ふっしょく)したい。同じ轍は二度と踏まない」と決意を示した。
会見に登壇したCerevoの青木和律社長は「量産につながるエンジニアリングだけでなく、梱包技術などもサポートしたい。課題を洗い出して、それに応じた品質管理を行っていく」と話した。
新体制での第一弾はフードスモーカー
UPQは新体制での第一弾として、初の生活家電となるフードスモーカー(燻製器)「REIKUN-Dome(レイクンドーム)」をクラウドファンディング限定で販売すると発表し、同日から支援の受け付けを始めた。食材の皿にドーム状のガラスを被せるだけで香りづけができる仕組みで、おつまみなどを簡単に作りたい大人がターゲットだという。
現在、試作品は完成しており、クラウドファンディングの申し込みが一定額に達した場合のみ商品化する計画。支援者限定で、量産化に向けたプロセスを公開し、透明性も担保していく。Cerevoの青木社長は「商品化と量産に向け、動作テストなどを担っていきたい」と話した。
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