「スタバでバイト」「手書きのES」は本当に有利? “就活都市伝説”の真偽を採用のプロに聞く:「私服可」でもスーツで行くべき?(2/3 ページ)
「スターバックスコーヒーでのアルバイト経験があると就職活動で有利になる」という説がささやかれるようになって久しい。「エントリーシートや履歴書を手書きすると、誠意が伝わって書類選考を通過しやすくなる」「体育会出身の学生は高評価」といったうわさも出回っている。これらの“都市伝説”は真実なのか。「リクナビ」の元編集局長の山崎淳氏に意見を聞いた。
ESは「手書きじゃなくてもOK」の企業がほとんど
――「ESや履歴書を手書きすると有利」という都市伝説もあるのですが、これは本当なのでしょうか。
山崎氏: 2010〜11年ごろまでは、手書きの応募書類を「キレイな字で書いている」「一生懸命書いている」などと評価する風潮があったことは事実です。ただ12年ごろから、「学生に応募書類を何枚も書かせるプロセスは無駄なのでは」「手書きする時間を、自己分析を深める時間など、意味のある活動に充ててもらったほうが効率的なのでは」といった議論が起き、フォーマットを気にしない企業が増えてきました。
現在「リクナビ」をはじめとする就活サービスでは、Web上で作成した履歴書を複数の企業に提出できる仕組みが主流になっており、「手書きしなくてもOK」とする企業はかなり多くなっています。
ただ、こうした風潮の中で、あえて手書きのESを要求してくる企業が一部残っていることも確かです。その場合、志望する学生は、中身だけでなく、読みやすい字や書き損じにも気を遣う必要があると思います。少し書き損じただけで、また一から書き直しになってしまうのは、なかなかの負担だと思いますが……。
「私服可」とする理由は「自然体の学生」を見るため
――選考での服装に関してはいかがでしょうか。要項に「私服可」と書かれている企業を受ける際、真に受けてスーツを着て行かなかった学生は「空気を読めない」「礼儀知らず」だと思われてしまうのでしょうか……。
山崎氏: いえ、「服装不問」とうたっている企業は、学生の服装を本当に気にしていません。評価が下がるわけでもありません。企業が私服での選考参加を認める目的は、スーツという“よろい”を脱いだ状態で、就活生の自然な姿を見ることです。
面接官は私服姿の学生と接して、「普段の学生生活はこんな感じなんだな」というイメージをつかむとともに、打ち解けて自然なコミュニケーションをする中で、人柄をつかみたいと考えています。ただ、その分、ボロも出やすくなるため学生は注意が必要です。
面接官は「学生のSNS」をチェックしている?
――私が就職活動をしていた15年ごろは「企業の採用担当者は就活生のSNSをチェックしている」「友人と遊び回っている投稿をすると、不真面目だと判断されて不利になる」といったうわさも飛び交っていました。これは本当だったのでしょうか。
山崎氏: 採用担当者が学生のSNSを調べる例はほとんど聞いたことがありません。膨大な人数の学生と接するので、逐一調べているとキリがないためです。
ただ、採用担当者の評価が高く、早期に内定を出した学生などに対しては、内定式の前にSNSでつながって連絡を取るケースはあると聞きます。その際に過去の投稿を確認し、「○○社のインターンシップはつまらなかった」などと、自社の悪口を書いていないかチェックすることで、志望動機が本当だったかを確かめる目的もあるようです。
――インターンといえば、現在はほとんどの企業が募集要項などに「インターンでの評価は選考に一切関係ありません」などと記載しています。これは建前ではなく本当なのでしょうか?
山崎氏: インターンは選考の合否に直接の関係はないとは思いますが、「インターンに来てくれた学生だ。自社への志望度が高いんじゃないか。それなら早く面接してあげよう」「他社に取られないようにしよう」などと考える採用担当者はいるかもしれません。
ただ、面接の日程が早まったり、多少気に入ってもらえたりしたからといって、その学生が必ずしも合格するとは限りません。スタバのバイト経験や体育会出身者の話とも共通していますが、大切なのは面接でのパフォーマンスです。
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