「スタバでバイト」「手書きのES」は本当に有利? “就活都市伝説”の真偽を採用のプロに聞く:「私服可」でもスーツで行くべき?(3/3 ページ)
「スターバックスコーヒーでのアルバイト経験があると就職活動で有利になる」という説がささやかれるようになって久しい。「エントリーシートや履歴書を手書きすると、誠意が伝わって書類選考を通過しやすくなる」「体育会出身の学生は高評価」といったうわさも出回っている。これらの“都市伝説”は真実なのか。「リクナビ」の元編集局長の山崎淳氏に意見を聞いた。
圧迫面接は時代遅れ
――昨今はパワーハラスメントに対する規制が強まっているためか、選考で学生に厳しく接して対応力を見る「圧迫面接」が減っているような印象を受けます。実際のところはいかがでしょうか。
山崎氏: はい、現代のビジネス界では、圧迫面接を行う企業はかなり減っています。パワハラへの規制が強まっていることも一因ですが、圧迫面接をクリアして「ストレス耐性が高い」と評価された学生が、入社後にプレッシャーがかかる場面で活躍できない例などが相次いだため、評価手法として不十分であるという認識が広まったことが最大の要因です。
圧迫面接を経験していない人が、厳しい状況でも負けずに頑張っている例もあるので、もはやこの方法は学生に悪い印象を与えるだけで、メリットはありません。多くの企業の人事は、圧迫面接をしないよう徹底しているはずなので、もし学生が就活中に遭遇した場合は“トレンドに遅れている”と判断できる指標になります。
ただ、採用担当者が圧迫面接をやめても、役員面接や最終面接で、部長〜社長クラスが「俺たちが若いころは厳しい面接が当たり前だった」「これをやったら能力が分かる」などと考えて、独断で厳しい面接をしてしまうことがまれにあるので、企業側も運用が難しいところです。
「学歴フィルター」「顔採用」は本当にある?
――最後に、採用の専門家にぜひ聞いてみたかったことがあります。就活での「学歴フィルター」「顔採用」は本当にあるのでしょうか。
出身大学を基準にして、書類選考などの通過者を絞り込んでいる企業は確かにあります。その一方で、「人材は一人一人さまざまだから、表面的な基準での選考やめるべきだ」と考え、学歴にとらわれない採用基準を設けている企業もあります。
前者は、面接できる枠が限られている人気企業に多いですが、「○○大学の学生は合格」などと偏差値だけを基準にしているわけではありません。「△△大学の学生は優秀だけど、採用してもすぐ辞めてしまう」「××大学の出身者は辞めずに頑張ってくれる人が多い」などと、過去のデータを分析し、自社に合ったカラーの大学の人を通過させるケースが一般的です。
後者のように学歴にとらわれない企業が出てきている理由は、現在は「AO入試」「一芸入試」などと入試制度が多様化しており、たとえ難関大学であっても、筆記試験が主流だった過去とは学生の質が大きく変わっているためです。学校名だけで線引きした結果、いい人を見落としてしまうケースを避ける狙いもあります。
このように、企業が学生を評価する基準は複数あるので、同じレベルや業界の企業をいくつか受けている学生は、1社目に落ちたからといって「良い大学を出ていないから、自分は他社にも採用されないのでは」と悲観する必要はありません。能力が認められれば、大学名だけで人を評価しない企業にあっさり受かってしまう場合もあります。
ルックスに関しては、オフィスの受付担当者など、文字通り“企業の顔”として外部の人と多く接するポジションであれば清潔感などが重要視されるかもしれませんが、それでも「美男美女が有利」だと一概には言い切れません。
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