ちょっとした工夫で“ホクホク”! 家庭用「焼き芋メーカー」の開発秘話:あの会社のこの商品(5/6 ページ)
特定の料理づくりに特化した調理家電は便利な半面、汎用性に乏しく、買っても次第に使われなくなる恐れがある。しかし、工夫すれば日常使いできる汎用性を持たせることができ、ヒットにつなげることが可能だ。そのことを示したのがドウシシャの「焼き芋メーカー Bake Free」である。
プレートの種類を増やし使い勝手を高める
しかし、いくら売れ行きが好調でも、商品が進化しないと人気はいつか鈍化する。これからも安定して売れるようにするには、新しさをプラスすることが望まれた。発売1年目の好調さの裏で、2年目に向けた新たな取り組みをスタートさせることにした。
注目したのはプレート。種類を増やすことにした。
新しいプレートを検討する中で着目したのが、焼きおにぎりであった。榑林氏は、焼きおにぎりに着目した理由を次のように話す。
「最近はスーパーやコンビニで焼きおにぎりの冷凍食品がよく売られていて、居酒屋でも〆のメニューとして用意しているところが少なくありません。注目度は高いのですが、自分でつくるとなると、途中で崩れてしまうなど意外と難しいところがあります。難しいけど注目度が高いことから、簡単につくれるようなプレートを開発することにしました」
焼きおにぎりは軽く握ってからプレートにセットし、後は電源を入れて待つだけ。ご飯を握ることなくプレートにセットし電源を入れれば、羽根つきの焼きおにぎりが完成する。
また、ドーナツ用プレートとたい焼き用プレートについては、どちらも家庭でつくるには面倒だが、楽しみながら手づくりでヘルシーなおやつがつくれる点にニーズがあると判断し開発した。
ドーナツやたい焼き用のプレートは過去に開発経験があったことから、ノウハウを生かすことができた。しかし、焼きおにぎり用プレートは初めて。シンプルな形だが、榑林氏は「最初はきちんと焼けるかどうか気になった」と当時の心境を明かす。結局、心配は杞憂(きゆう)に終わり、焼きおにぎりは問題なくできた。
関連記事
- 「佃製作所はやっぱりブラック企業」と感じてしまう、3つの理由
ドラマ「下町ロケット」の特別編が放映され、14.0%という高視聴率を叩き出した。多くの人がこのドラマを見て胸が熱くなったかもしれないが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。ドラマの内容を考えると、「日本の未来に不安を感じる」という。どういう意味かというと……。 - 「現金お断りの店」は、その後どうなったのか? ロイヤルHDの実験
1年ほど前、東京の日本橋に「現金お断り」のレストランが登場した。ロイヤルホストを運営するロイヤルHDが運営しているわけだが、キャッシュレスにしてどんなことが分かってきたのか。メリットとデメリットを聞いたところ……。 - 回転すしの厨房はどうなっている? くら寿司で働く若きリーダーに見せてもらった
大手回転すしチェーンは安くてうまいすしを迅速に提供することで成長を続けてきたが、そのビジネスを支える厨房はどのようになっているのだろうか。くら寿司の新店オープンを次々と手掛ける若きリーダーに話を聞いた。 - 東芝のラジカセが売れている背景に何が? 企画担当者に聞く
東芝エルートレーディングのCDラジカセ「Aurex TY-AK1」が売れている。50代から多くの支持を集めているわけだが、どのような機能が搭載されているのか。同社の開発担当者に話を聞いた。 - 正体不明の楽器「Venova」は、どのようにして生まれたのか
楽器を演奏してみたかったけど、高価すぎて断念した。こんな思いをした人も多いのでは? この課題にヤマハは挑み、気軽に始められ比較的安価な新ジャンルの楽器を開発。一度見たら忘れそうにないデザインの「Venova」を生み出した。インパクト十分の楽器は、いかにして誕生したのであろうか? - なぜカシオの「余り計算機」は、いまの時代でも売れているのか
調剤薬局や物流会社の倉庫では、電卓で余りを計算することが頻繁にあり、効率化が求められていた。このようなニーズから生まれたのが、カシオ計算機の「余り計算電卓 MP-12R」だ。特定のユーザーを対象にした専門的な機能を搭載したニッチな電卓の、誕生までの歩みを追った。 - 1250円の「カレー専用スプーン」は、どうやって開発したのか
カレーライスを食べる時、スプーンにこだわる人は多くないだろう。出されたものを使うか、無意識に選んだものを使っているはずである。しかし世の中には、カレー専用につくられたスプーンがある。その中でも現在、注目を集めているのが、「カレー賢人」だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.