「高学歴新卒」は本当に優秀? 活躍しているの? 識者が語る“リアル”:リーディングマーク飯田代表に聞く(2/3 ページ)
世間では「高学歴だからといって、仕事ができるとは限らない」などとやゆする声が散見される。企業が上位校学生への採用を重視することを批判的に捉える声もある。時として批判を集めてしまう上位校学生だが、実際はどんな能力を持っており、社会で活躍できているのか。“優秀層特化型”の就活サービスを手掛ける、リーディングマーク代表取締役の飯田悠司氏に意見を聞いた。
上位校の学生が志望する企業はどこ?
――そんな上位校の学生は、どのような企業を志望するのでしょうか。
飯田代表: 若干ピークアウト気味ですが、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事といった総合商社が最も人気なのが近年のトレンドです。このほか、東京海上日動火災保険、サントリー、三井不動産、三菱UFJ銀行、三井不動産、三菱地所なども人気です。
また、いまの上位校の就活生は、就職先を選ぶ際に「評判・企業イメージ」「仕事内容」「人と文化」「待遇」――の4要素を重視している印象です。昔は「とにかくチャレンジできる環境に行きたい」「所得が高い企業に入りたい」という就活生が多かったですが、時代とともに変わってきました。
著名な企業でパワハラ、セクハラ、過労死などが相次ぎ、社会問題化したこともあり、「身を削ってまでチャレンジするのではなく、働きやすい環境で社会的に意義のある仕事がしたい」という価値観が広がっているようです。
就職後に活躍しているのか?
――やはり大企業が多いようですが、上位校の学生は本当に優秀なのでしょうか。また、就職後に活躍できているのでしょうか。
飯田代表: 一概にはいえませんが、上位校の学生は、多感な時期にいろんな誘惑に耐え、難しい入学試験を突破しているため、努力できる人材であることは確かです。社会人になった後のパフォーマンスを追っても、状況を把握したり、文書の内容を理解したり、問題を解決したりする能力が高い傾向がみられます。
ただ、野球がうまい人が水泳も得意だとは限らないのと同じで、高校時代にペーパーテストの成績が良かったことと、仕事で成果を出し続けられることはイコールではありません。
中には「東大や早慶に入れたから楽勝だ」などと、仕事や人生を甘く見た結果、就職後につまずいている人も確かにいます。こうした人たちは、“過去のテスト結果”に安住するのではなく、「昨日の自分を殺して、新しい自分に生まれ変わる」覚悟で仕事に臨むべきです。
特に優秀だったのは中堅私立大学の出身者
一方、入試で上位校に入れなくても、それをバネにして成長し、社会で活躍している人はたくさんいます。実は、私がこれまで多くの学生に接する中で特に優秀だと感じた人が1人いるのですが、彼はユーザーの大半を占めている上位校ではなく、とある中堅私立大学の出身者です。
彼はコミュニケーション能力が極めて高く、人の懐に飛び込むことが上手です。「もっと成長したい」「もっと吸収したい」という素直で前向きなマインドや、人に教えを乞い、それを踏まえて成長することを泥臭くやり続けられる力もあります。
こうした仕事術や心構えは、学生時代に経験した靴磨きのアルバイトで、多様なお客さんと接する中で学んだそうです。そんな彼は今、スタートアップで若くして執行役員として活躍しています。「みんな靴磨きをやるべきだ」と言うつもりはありませんが、「憶することなく質問し、そこから学ぶ」という一見すると当たり前のことを地道に続けることで、成功できるケースもあるのです。
関連記事
- 高卒でプロ野球を戦力外 16年後に「公認会計士」になった男の逆転人生
阪神タイガースから戦力外通告を受けたものの、その後公認会計士になった元投手、奥村武博さん(39)。引退した選手が第二の人生で成功できずにトラブルを起こすケースが多い中、いかにして成功できたのか。かつての挫折と、そこから這い上がった経験を聞いた。 - 仕事中に「マジ切れ」する日本人が増えている、ちょっと意外な理由
一般社団法人 日本アンガ―マネジメント協会の安藤俊介理事長によると、現代の日本では仕事中にイライラするビジネスパーソンが増えているという。その理由と、怒りを抑えるための技術を聞いた。イライラを防ぐコツは「他者との違いを受け入れる」ことだという。 - 「スーツにリュック」は本当に非常識? プロのマナー講師に聞いてみた
「スーツにリュックサックを合わせるのはマナー違反」との声をよく耳にする。だが、リュックには機能性などのメリットがある点も事実だ。なぜ、ビジネスリュックは批判を集めるのか。本当に非常識なのか。日本サービスマナー協会の講師に見解を聞いた。 - 「面接でノック2回」「室内でコート」は本当に失礼? プロのマナー講師に聞いてみた
ビジネスシーンでは、ノックを3〜4回してから入室するのがベターだという説がある。これは本当なのか。なぜ2回のノックは失礼なのか。「コートを着たまま屋内に入るのはマナー違反」などの説の真偽も含め、マナー講師に見解を聞いた。 - 「スタバでバイト」「手書きのES」は本当に有利? “就活都市伝説”の真偽を採用のプロに聞く
「スターバックスコーヒーでのアルバイト経験があると就職活動で有利になる」という説がささやかれるようになって久しい。「エントリーシートや履歴書を手書きすると、誠意が伝わって書類選考を通過しやすくなる」「体育会出身の学生は高評価」といったうわさも出回っている。これらの“都市伝説”は真実なのか。「リクナビ」の元編集局長の山崎淳氏に意見を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.