おまめのフジッコ「カスピ海ヨーグルト」の成長が止まらない理由:ねばり勝ち(4/4 ページ)
フジッコの「カスピ海ヨーグルト」が成長を続けている。2005年の発売以降、右肩上がりに売り上げを伸ばし続けているのはなぜだろうか。マーケティング推進室室長の紀井孝之さんに、“ねばり勝つ”戦略について聞いた。
「ブランド全体を動かす」マーケティングの力
これまでの取り組みを振り返ると、全体を統括するブランドマネージャーだからこその苦労もあった。「営業を20年やってきたので、ある程度のことは分かっているからやれるだろうと思っていましたが、それは間違いでした」と紀井さんは話す。
ブランドの将来を考えていくためには、売り上げのことだけでなく、製造ラインや品質基準、投資の状況など、商品に関わる全てのことを把握しておかなければならない。「最初の1〜2年は知らないことだらけで苦しかったですね。営業に戻りたいと思うこともありました」
マーケティングの部署に配属になって気付いたのは、部署によって言っていることが食い違うこと。それにも戸惑った。そこで、部署を横断する形でカスピ海ヨーグルトのプロジェクトを立ち上げ、ミーティングを重ねた。そして、工場をはじめとして、生乳の産地である北海道などに何度も足を運び、知見を広げていった。
3年目ごろから全体像を語れるようになり、マーケティングの面白さと重要性にも気付き始めた。「営業は地域単位の戦略になることも多いですが、マーケティングはブランド全体を動かせる。大きな視点を持てるようになりました」
今後の目標は「フジッコのマーケティングを大きく進化させていく」こと。良いものを作っても必ず売れるとは限らない。マーケティング戦略によって商品の成長に携わった経験を生かしていく。「これからもお客さまにより近いところで、マーケティングを実践していきたいと思います」
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