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恵方巻があっという間に豚の飼料へ 食品廃棄とリサイクルの現場を歩く:首都圏の工場を取材(3/5 ページ)
食品廃棄の観点から恵方巻のイベントが批判されている。首都圏のある工場では廃棄された恵方巻が豚の飼料になっていた。どのような仕組みになっているのだろうか。
目視で異物を取り除く
廃棄物を入れたコンテナはリフトに乗せられ、投入口に流し込まれる。ここで、従業員が高圧洗浄機でコンテナ内部を洗浄する、また、高圧洗浄機を“包丁”代わりにして廃棄物をある程度細かく砕いている。
廃棄物はその後、破砕され、次の工程に運ばれる。取材当日、2人の女性従業員がコンベア上を流れる廃棄物から、ガラス片や瓶の栓といった異物を取り除く作業をしていた。人の目では見つけられない小さな異物は、金属探知機やマグネットなどを使って取り除く。
異物を取り除いた廃棄物はさらに破砕し、牛乳などの液体と混ぜてヨーグルト状にする。その後、80〜95度の高温で15分ほど殺菌し、タンク内に入れる。タンク内は40度に保たれており、12時間もすると液状の飼料が完成する。飼料はタンクローリーで運ばれる。
一般的な豚の飼料というとトウモロコシといった粉状のものを想像する読者も多いだろう。なぜ、液体の飼料なのだろうか。仮に、廃棄物を乾燥させようとすると膨大な熱量が必要になる。コストアップの要因になるだけでなく、二酸化炭素も排出される。さらに、液状になった飼料は乳酸菌の働きにより腐りにくくなる。つまり、コスト面でもエコの面でも液状の飼料は理にかなっているというわけだ。
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