「産まない女が問題」麻生発言の陰で、増え続ける“未婚シングルマザー”:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/5 ページ)
結婚せずに母親になった「選択的シングルマザー」が増えている。フランスでは婚外子の権利を保障する取り組みが進んでいるが、日本では未婚というだけで「会社を辞めなければならない」現実にぶち当たる人がいる。“世間のまなざし”は変わるのか。
「時短勤務不可」「子どもがかわいそう」未婚の母のリアル
「39歳のときに出産しました。最初、妊娠が分かったとき、会社を辞めなければいけないと思っていました。でも、そのときの上司に『産休も育休もあるじゃないか。未婚とか関係ないだろ? それともどうしても辞めたい理由があるのか?』と聞かれたんです。それで普通に産休も育休も取って、復職。ところが、その後上司が異動したことをきっかけに、子どもを育てるために会社を辞める選択をせざるを得ない状況に追い込まれました。
時短勤務は『未婚者には適用できない』と、新しい上司に却下され、子どもが熱を出したりすると『また早退? 面倒見てくれる親とか、きょうだいとかいないの?』と同僚や先輩社員から言われ続けました。
まだそれだけならなんとか我慢できたかもしれません。でも、『子どもがかわいそう』『子どもはペットじゃない』『父親のいない子は一生苦労する』って。どんなに仕事で結果を出そうとも、陰口だけでなく面と向かって言われてしまったんです。
それで折れた。……それ以上はムリでした。完全に心が折れた。会社を辞め、今の会社に転職しました。以前は正社員でしたが、今は非正規です。
私は子どもを産むまで17年近く、その会社で評価され、キャリアも順調に重ねてきました。それが未婚というだけで、ゼロ評価どころかマイナスに評価され、白い目で見られるようになってしまった。未婚のシングルマザーでは、会社員失格なんですか? 『女性にやさしい社会』の“女性”に、未婚のシングルマザーは入っていないんでしょうか?」
……彼女は実に悔しそうに、厳しい経験と苦しい胸の内を話してくれたのです。
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