今こそ考える? ゴールド(金)投資の魅力:渋谷豊の投資の教室(3/3 ページ)
株式市場が軟調だと、自然とリスクに強そうな投資に目が向く。特に、歴史的に価値を保ってきたゴールド(金)は、実際に手に取って触れられる資産ということもあって、気になっている人が多いだろう。
渋谷: ゴールドは別名、鉱山のカナリアといわれています。屈強な鉱山マンが採掘に行くときに、昔は鉱山内にガス探知機がなかったのでカナリアを連れて行っていました。強じんな男たちがかわいいカナリアを連れていって、岩壁をハンマーでたたき採掘します。なにか微笑ましいですが、あるときカナリアがパタっと死ぬことがあります。それはカナリアがガスを吸って死んだからです。すると鉱山マンがガスが漏れている! と知ることができ、ガス漏れ事故に遭わないようにすぐに引き上げることができました。
ゴールドは金融商品の中で「鉱山のカナリア」の役割を果たしているといわれています。リスクが台頭したときにはゴールドが上がると、格言としていわれています。でも、実際はインフレ期待が高まったときに価格が上がるので、「インフレ懸念が高まったときにゴールドは上がる」が個人的には正しいと思います。
ゴールドは持っているだけでは収入を産まない資産
渋谷: ゴールドを少し持ちたいよね、と思う人はインフレ対策として考えないと妙味がないですね。
ほとんどの資産には利回りがあるんです。債券にしても株にしても不動産にしても、金利、配当、家賃収入があります。でもゴールドには金利収入がないんですよ。だから世の中が元気なときは全然おいしい投資ではない。だって利回りがゼロなんですから。ゴールドへの投資はインカムゲインがゼロ、キャピタルゲインしか狙えないんです。
極端な話、100万円で買った資産から毎年2%コンスタントに金利が入ってくれば50年たてば元本がなくなっても収益はトントンになります。ゴールドの場合は金利がないので、元本が下がったら上がるしか取り戻す方法がないんです。投資の世界では、金利によって損益をカバー(キャリー収入)というものがあるのですが、ゴールドはカバーするものがない。だから買い方や買値が重要なんです。
話し手 渋谷豊
ファイナンシャルアカデミー取締役。中上級者向け講座では教壇にも立つ。大学卒業後、邦銀勤務を経て、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(MBA)を修了。その後、米系、仏系銀行のプライベートバンク部門にて、富裕層の資産運用業務に13年間従事。2008年の世界的金融危機を体験し中立的な金融アドバイスの必要性を痛感し、独立系投資顧問会社代表に就任した後、さらに幅広い層に金融経済教育を広めるためファイナンシャルアカデミーに参画。現在は投資信託スクールでの講師のほか、Jリーグの選手への講演等も行う。ファイナンシャルアカデミー
関連記事
- 投資する人としない人で、資産に「年3.5%」の差がつくのはなぜか?
皆さんは資産運用をしていますか? 投資とか資産運用なんてお金持ちだけの話……というのは今は昔。自分で資産運用を行って老後の資金を貯めていくよう、社会も変わってきています。でも、資産運用なんて考えたこともない。そんな人に向けて、どう考えて資産運用に取り組んだらいいかの連載がスタートしました。 - 資産の15%を失っても、あなたは夜寝られますか?
皆さんは資産運用をしていますか? 今や自分で資産運用を行って老後の資金を貯めていくよう、社会も急速に変わってきています。でも、資産運用なんて考えたこともない。そんな人に向けて、どう考えて資産運用に取り組んだらいいかの連載がスタートしました。第二回はリスクについて。 - 退職金離婚に陥らないための投資経験値
皆さんは資産運用をしていますか? 今や自分で資産運用を行って老後の資金を貯めていくよう、社会も急速に変わってきています。でも、資産運用なんて考えたこともない。そんな人に向けて、どう考えて資産運用に取り組んだらいいかの連載です。第3回は投資経験値の貯め方について。 - 分散投資でも防げない2つのリスクを知っていますか?
なぜ投資をする人としない人で大きな差がつくのか、そして退職金をもらってからいきなり投資を始めるのではなく、若い内から投資経験値をしっかりと貯めていくことが重要だという話を聞いてきました。そして重要なのが、価格のブレ幅を意味する「リスク」です。今回はそのリスクに関するこわい話です。 - 日本で暮らしているのに海外投資が必要な2つの理由
分散投資といったときに、外せないのが海外への投資だ。日本だけでなく海外各国へ分散することが重要だといわれる。しかし、日本に住んで日本でモノを買っているのに、どうして円以外へ投資する必要があるのだろうか? - 300万円か給料6カ月分 投資の前に現金を持ってますか?
資産運用が大事だといっても、すべてのお金を投資に回せるわけではないし、回して良いわけではありません。いったいどのくらいを預金や現金として持っておくべきなのだろうか? 単に生活のための現金という以外に、リスクコントロールのツールとして、またチャンスが来たときのための現金という要素もあった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.