もしも銭形警部が人工知能を使いこなしたら、警察はルパンを逮捕できるのか?:近未来の働き方を想像する(4/7 ページ)
日本では「熱血型上司」が人気だという。しかし、近い将来それと対極にある存在が私たちの上司になるかもしれない。人工知能だ。そのとき、部下の動きはどのように変わっているのだろうか。「ルパン三世」の銭形警部を例に見ていこう。
もしも銭形が人工知能を使い出したら、どんな部下が評価される?
では、もしここで銭形自身が今までの捜査スタイルに限界を感じ、己の直感力ではなくデータに立脚した捜査を志向し出したとしたら、部下たる埼玉県警の刑事の動きはどのように変わり、目指すべきキャリアプランはどう変化するだろうか。
銭形が導入を検討する人工知能は恐らく2つになるだろう。「顔画像解析」と「決定木分析による直感力の技術伝承」である。
顔画像解析
銭形の捜査で課題となるのが、「警護対象を1人で見きれない、でも指示を出せるのは自分だけ」というものである。結果、銭形に変装したルパンが紛れ込んでも気付かず、「馬鹿野郎、そいつがルパンだ!」というお決まりの状況に追い込まれるわけである。これは捜査員が、現場の状況の全体像を把握できていないという情報共有の課題であり、全体像を人が把握するには複雑で広大すぎるという課題である。
これを解決するため、状況を的確に整理し、要点を絞った上で全員が全体を把握できるようにする情報共有基盤を人工知能で作成するのだ。やり方としては、監視カメラ上に存在する画像をリアルタイム解析し、その映像に誰がいるのか認識する人工知能を導入するのがいいだろう。
アニメでは「監視員が金持ちの自慢話を聞いているうちに一瞬銭形が2人いることを見逃す」といったこともあるが、人工知能は見逃さない。本来1人の銭形が同時に複数の場所に出現したら、即座に警告を発する。また、服装を替えたぐらいでごまかされることもない。これまで、膨大な情報量を持つ動画をリアルタイム解析して高い精度を出すことは難しかったが、畳み込み型ニューラルネットワークは、飛躍的に情報量を圧縮しており、顔認識の精度は向上しているのだ。
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